持続可能な地域社会をつくるローカルメディア NPO法人森ノオト

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持続可能な地域社会をつくるローカルメディア NPO法人森ノオト

6月の下旬、横浜市青葉区に『NPO法人森ノオト』を訪問しました。

森ノオトさんは、子育て世代の母親が中心となって活動をするローカルメディアです。青葉区を中心に、そこに暮らす人たちの取り組みや衣食住に関する情報などを現地取材してウェブで発信しています。また、取材先などとイベントを開催することで、地域にリアルなつながりを生み出しています。

そんな森ノオトさんの事務所『森ノオウチ』は、東急田園都市線の青葉台駅からバスと徒歩で10分ほどのところにあります。周囲は整然と住宅が建ち並ぶ閑静な住宅地で、近くには日本体育大学や横浜美術大学、こどもの国などがあります。

バスを降りて住宅街の中の坂を上りきった所にある、庭木に囲まれた広い前庭のある2階建ての一軒家が森ノオウチです。裏に並んで立っている建物『森ノハナレ』とともに、近隣の大家さんから借りて利用しています。

 

地域の魅力ある取り組みが集まるマーケット

 

私が訪問した日は、森ノオトさんと取材をきっかけにつながったお店などが出店する『かもしだ小さなマーケット』の開催日でした。前庭には移動販売車やテントが並び、さまざまな商品を販売しています。

出店しているのは、全て近隣で活動をするお店や事業所、個人の方です。扱っている物はさまざまで、地産地消のお弁当や、地域の新鮮な野菜、おなじ青葉区内の人気ベーグル店のベーグルやマフィン、近くの福祉法人が作っている干し野菜などの食品、竹かご作家さんによる手作りの竹かごなどが並んでいます。

ほかにも、建物内や中庭でアップサイクルの工房による座布団のオーダーメイドや、介護事業を営む近所の会社による健康診断、地域包括支援センターによる生活相談なども行われていました。

 

 

森ノオトの梅原さんに案内してもらいながら感じたのは、参加している人がみんな自然体で過ごしているということです。

普段の生活では、他人と気軽に挨拶したり話したりすることはありませんが、ここでは売る人も買う人もスタッフも、みんな打ち解けて笑顔で話しをしています。また、ベンチで購入した商品を食べたり、端切れを撚って紐をつくったりと思い思いの時間を過ごしている人もいます。

そんな誰もがリラックスして過ごしている光景がとても印象的です。

 

みんなで作る みんなの居場所

 

つづいて森ノハナレの中を案内してもらいました。築30~40年ほどと思われる2階建ての建物は、窓が大きく開放感があります。

室内には、様々な木材をモザイクの様に組み合わせた壁や、古布で作った服や小物などが飾られた棚、飲み物が用意された卓袱台、図書館と協力して毎回テーマごとの本を揃えている本棚などが並んでいます。部屋のすみずみまで森ノオトさんのこだわりが感じられます。

森ノハナレは、昨年地域の工務店に協力してもらいながらボランティアの人達と大規模なリフォームをしたそうです。梅原さんは、「みんなで少しずつ手を加えることで、みんなの居場所になるんです」と笑顔で説明してくれました。現在は地域の子育て世代とシニア世代の交流の場や、古布を使った小物や服をつくる工房として活用されています。

森ノハナレの玄関脇の壁には、地域のお店やイベントのチラシがたくさん張ってありました。貼り切れないチラシが他にもまだまだ有るそうです。これを見ただけでも、地域の多様な活動が伝わってきます。

 

寄付で運営されるローカルメディアを目指して

代表の北原さん(右)と事務局のみなさん

 

森ノオト代表の北原さんからお話を伺いました。

北原さんは2009年に「青葉台発・地元のエコ発見メディア」として森ノオトを立ち上げました。そして持続可能な地域社会を目指し、地域の担い手でもある子育て世代の女性がライターとなって地域にある取り組みを取材、発信するスタイルをつくりあげました。これまでに80名以上のライターを育て、年間約200本の記事を発信しています。

そんな北原さんは、「少子高齢化が進み共働き世帯が増加する今の社会には、多世代がつながる地域のハブとなるコミュニティーが点在していることが大切」と言います。しかし、そのようなコミュニティーを増やすには継続性のある資金を確保する必要があります。広告やスポンサーによる支援で運営する方法もありますが、景気によっては急に資金が断たれるリスクがあります。また、記事の独立性を保てるかという問題もあります。

そこで今は「寄付で運営されるローカルメディア」のモデルづくりに取り組んでいます。事業の方針に賛同して寄付で支えてくれる寄付者をどう増やしていくか、それが現在の課題です。

 

持続可能な地域社会とは?

 

森ノオトさんを訪問する前は、持続可能な地域社会とはどんな社会なのかイメージできずにいました。しかし今回の訪問で「住宅街であるこの地域にこんなに沢山の魅力的な取り組みがあるんだ」という事を実感することができました。

初めて訪れた地域にそこまで魅力を感じたのは、その魅力を発見し記事にしてくれている地域に密着したライターの方と、ライターを育て発信と交流の場を提供してきた森ノオトさんのお陰です。

きっと、私たちが今住んでいる地域にも、魅力的な取り組みはたくさんあるはずです。普段素通りしている畑やレストランも、実は栽培方法や品種にこだわった作物をつくっていたり、そんな地域の作物を使った料理を提供するレストランだったりと、気付いていない魅力が隠れているのかもしれません。

現在は買い物もネットで済ませることができるようになり、地域とのつながりがなくても生活に困ることはあまり有りません。しかし、森ノオトさんのようなローカルメディアなどによって地域の多様な魅力が顕在化することで、日々の生活がより豊かになるのではないでしょうか。

そして、それらの取り組みが起点となって地域に生まれる多様なネットワークが、持続可能な地域社会の基盤になるのだと思います。

 

ぜひ一度、森ノオトさんを訪問してみてください

 

お昼になり、『かもしだ小さなマーケット』で購入したお弁当を森ノハナレの縁側で頂きました。注文してから調理するという地域の食材を使ったじんわり美味しいお弁当は、食後に器を返却すると食器代を返金してくれる仕組みです。

一緒に来た同僚は、森ノオトさんの記事を読んでチェックしていたベーグル屋さんで買い物をしていました。その後、その記事を書いたライターさんともお会いでき、とても話が弾んでいました。

お弁当を食べ終え、流れる雲を見上げたり、ガーランド作りに使う紐づくりを手伝ったりしていると、時間がとてもゆっくりと流れている気がしてきます。この日は晴れて30度近くまで気温が上がったのですが、中庭に面した縁側は風通しもよく快適です。

スタッフの方によると、ここは「仕事ができないオフィス」と呼ばれているそうです。問い合わせや人の訪問があったり、居心地が良すぎて仕事が手に付かなくなるそうで、記事は森ノオウチではなく自宅で書いているそうです。私たちももっと長居したくなるのをこらえて帰路につきました。とても穏やかな時間でしたが、感じることや考えさせられることがとても多く濃厚な時間を過ごすことができました。

森ノオトでは定期的にイベントを開催していますので、どうか気軽に参加してみてください。ふだん地域と関わりがあまりない人も、色々なことに気付かされるはずです。

 

~ご支援のお願い~

お金をまわそう基金では、NPO法人森ノオトへの寄付を受け付けています。
頂いた寄付は、『寄付で運営する持続可能なローカルメディア事業』に充てられます。

皆様からのご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。

・頂いた寄付は全額をNPO法人森ノオトへお届けします。

・お金をまわそう基金での寄付は税制優遇措置の対象となります。

 

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