医療的ケア児と家族の夢を寄付で応援!休眠預金活用事業のご報告 [前編:医ケア児とご家族]

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医療的ケア児と家族の夢を寄付で応援!休眠預金活用事業のご報告 [前編:医ケア児とご家族]

2019年度、公益財団法人お金をまわそう基金は休眠預金等活用法に基づく資金分配団体として採択され、3年間の事業を実施することとなりました。
実施が決まったのは、休眠預金と寄付を活用して、3団体と活動を行う「医療的ケア児と家族の夢を寄付で応援」というプロジェクトです。
具体的な内容としては、医療的ケア児と家族に安心して楽しい思い出をつくってもらうことや、ご家族が孤立することなく夢や希望をもって生活することができる社会づくりを目指し、NPO法人Lino、公益社団法人難病の子どもとその家族へ夢を、公益社団法人ア・ドリーム ア・デイ IN TOKYOと一緒に主に旅行支援のための活動を行って参りました。

2023年3月の事業終了に向けて、プロジェクトの意義や3年間の活動の様子等をご報告したいと思います。

 

医療的ケア児について

「医療的ケア児」(以下、医ケア児)とは、人工呼吸器や胃ろう等を使用し、生活するうえで医療的なケアが日常的に必要な子のことを指します。
それぞれの医ケア児によって必要なケアは異なりますが、食事や排せつ、溜まった痰を吸引する際など、日常生活の様々な場面で家族の助けが必要な点はどの子も共通しています。

母親への負担の集中

医ケア児への日常のケアは主に母親が担います。(※)
子どものケアを行うために仕事を辞めざるを得なかったり、夜遅くまでケアをするために寝不足になるなど、母親の負担は大きく、医ケア児から目を離すことができません。

※三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「医療的ケア児者とその家族の生活実態調査報告書」(令和2年)では、医療的ケア児者の主たる介助者へのアンケートを行ったところ、回答者の94%が母親、5.3%が父親という結果でした。また、主にケアを行っている人(回答者)以外に、ケアを依頼できる人が「いる」と答えた人は62.4%に留まっています。

医ケア児を含む病児の父親についても、家族の生活を守るためや周囲の環境などの理由でケアに参加できない場合があります。

以前、公益社団法人ア・ドリーム ア・デイ IN TOKYOが支援するディズニーランド旅行に参加されたお父さんも、仕事の関係で地元に残り、病院のある土地に移ったお母さんや子どもたちと離れて生活を送ることになったという事情がありました。
休眠預金活用事業では、様々な形で医ケア児とご家族がともに過ごせる時間を作り上げてきました。

負担を背負い込みがちなきょうだい児

場合によっては医ケア児が兄弟姉妹にいる「きょうだい児」と呼ばれるお子さんが介助の手伝いを行うことや、親の代わりに家事を担うこともあります。
母親が医ケア児の介助中はきょうだい児の面倒を見ることもできません。

NPO法人Linoのツアーに参加された医ケア児ときょうだい児を持つお母さんからは、実際に「家族がみんな一緒の時はきょうだい児の相手に専念できない」という声がありました。
ツアーでは医ケア児をスタッフに任せられるため、きょうだい児は遠慮することなくお母さんと2人の時間を過ごせます。
乗っていたボードから仲良く滑り落ち、すぶ濡れになって笑い合う2人の様子は、一般的な親子の姿そのものでした。

↓海洋リハビリ体験ツアーの様子についてはこちら↓

「きょうだい児」の笑顔が広がる旅 ~Lino 沖縄海洋リハビリ体験ツアー2022秋~

 

医ケア児とその家族が前向きに過ごしていけるように

日常において母親への負担の集中や、きょうだい児が母親に甘えられず我慢を強いられることが医ケア児の周囲で起こっており、「参加された医ケア児とご家族が日常生活を前向きに過ごせる状態になること」は今回の事業を行うことで達成を目指してきた大きな目標の一つです。
前述の3団体はそれぞれの関わり方で医ケア児とご家族に寄り添っており、事業に参加されたご家族からは、体験そのものに対する感動の声だけでなく、その後の日常生活に対して自信を持たれたことが伝わってくる声も多くいただくことができました。

今回の事業では、「参加された医ケア児とご家族が社会から孤立することのない地域社会をつくること」を長期的な目標に設定し、それに寄与できるように、3団体とともに医ケア児とご家族の旅行や外出に対する支援を中心とした様々な活動を行ってきました。
この目標を達成するためには、医ケア児とご家族に前向きな気持ちを持ってもらうだけでなく、社会の人々も変わっていく必要があります。
後編では、医ケア児とご家族が他の人々にとっての”当たり前”の生活を送れる社会について考えていきたいと思います。

[後編:インクルーシブな社会に向けて]はこちら