2月12日、沖縄県の恩納村にある公益社団法人難病の子どもとその家族へ夢をの運営するバケーションハウス「青と碧(あお)と白と沖縄」にて、「心つながる沖縄の音楽」と題したミュージックパーティーが開催されました。
バケーションハウス「青と碧と白と沖縄」
公益社団法人「難病の子どもとその家族へ夢を(通称:Hope&Wish)」は、全国の難病の子どもとご家族全員を応援する団体です。活動を通じて、一人ひとりが“社会とのつながり”を実感し、「夢」をもつことができる社会の実現を目指しています。
今回のイベントの会場は、病気を患う子どもとそのご家族のレスパイト施設として2020年3月にオープンした「Hope&wishバケーションハウス 青と碧と白と沖縄」。那覇空港から車で1時間ほどの恩納村にあります。イベント当日の2月12日は、半袖でも快適に過ごせるほどの暖かい気候でした。
イベントのねらい
難病の子どもとご家族は、子どものケアや病院の往来等にかかる時間が多く、一般の人々と交流する機会が少ないと言われています。アンケートによると、約半数の保護者が「社会から孤立していると感じる」と回答、「自分の行いたいことを行うことができている」との回答は2割にも達しません。(三菱UFJリサーチ&コンサルティング「医療的ケア児者とその家族の⽣活実態調査」より)
同団体のこのイベントは、難病の子どもとご家族と地域の人々を呼ぶことで、地域の人々に団体の取り組みを知ってもらったり、ご家族が地域の人々とコミュニケーションを取るきっかけを作ることを目指しています。
心つながる沖縄の音楽
昼の12時、バケーションハウスを管理する阿部さんご夫妻から挨拶の後、ゆるやかにイベントがスタートしました。
トップバッターは、中田さんご夫妻の三線とフラダンスのコラボレーションです。中田さんは、同団体の代表理事の大住さんと地元の銭湯で知り合ったのがきっかけで、このバケーションハウスで演奏をすることになったそうです。
次は、沖縄県出身で、現在は東京で活動する歌手の安次嶺(あしみね)希和子さん。同団体の活動のコンセプトに共感し、イベントに協力することになりました。同じく東京で活動するDinoJr.(ディノ・ジュニア) さんのギターと共に、通り雨の中即興で「雨の歌」等を披露。美しい歌声が響きます。
最後の出演は、沖縄を代表する伝統芸能であるエイサーを踊る団体「結(ゆい)太鼓」による踊りが披露されました。動くシーサーも現れ、大人も子どもも大喜び。
ピジョンリリース
イベントの半ばに、司会の阿部さんからピジョンリリースのアナウンスがありました。突然のアナウンスにざわつく来場者の間を、可愛らしい花で飾られたおしゃれな鳥かごが運ばれてきます。鳥かごの中には、美しい白い鳩が10羽。バケーションハウスの近くで牧場を経営する當間さんが、本日のイベントの為に準備しました。
障がいのあるなしに関わらず、笑顔溢れる平和な時が永遠に続きますように…との願いを込めて。リリース役は、12月にウィッシュ・バケーションで東京を訪れた、近くに住むご家族です。4人で力を合わせ、10羽の白い鳩を鳥かごから放ちます。
イベントから生まれる地域とのつながり
歌や踊り、ピジョンリリースの合間に交わす、参加者同士での「きれいな歌ですね」「鳩が可愛かったね」「カレーが美味しいね」といった何気ない会話。このような些細なやり取りが、難病の子どもとご家族にとっては大変貴重で、社会とのつながりを感じるきっかけになるそうです。
また、今回の参加者の中には、初めてこのバケーションハウスの存在を知った方や、今まで接点がなかった難病の子どもを連れたご家族などもいらっしゃったりなど、新たなつながりにもなりました。
地域の方がボランティアで食事を作ってくれたり、お菓子を差し入れしてくれたり、事前準備を手伝ってくれたりすることも、大きな支えになっているとスタッフの方は仰いました。
難病の子どもとご家族が孤立しない社会を目指して
歌や踊りのイベントをきっかけに地域に多様な人がいることを知り、お互いが自然につながりを持つことができる。そのような場を少しずつ設けてきたこのバケーションハウスは日が経つにつれて地元の協力者も増え、今後も様々なイベントを企画しているそうです。イベントで子どもや大人が楽しそうに過ごす様子を見ていると、「同団体の目指す社会は着実に実現されつつあるのではないか。」と希望を感じるような、とても素敵なイベントでした。
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※本事業は、休眠預金等活用法に基づく資金分配団体として実施する助成事業です。