「できる」自信が生まれる旅 ~Lino 沖縄海洋リハビリ体験ツアー2022夏~

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「できる」自信が生まれる旅 ~Lino 沖縄海洋リハビリ体験ツアー2022夏~

2022年6月4日(土)~6日(月)にかけて、NPO法人Linoによる海洋リハビリ体験ツアーが沖縄で開催されました!

そのうち、6月4日(土)・5日(日)の2日間、お金をまわそう基金も同行させていただきましたので、その様子をご紹介します。

海洋リハビリ体験ツアーとは

NPO法人Linoは、障がいのため医療的なケアが必要なお子さんが社会との関わりを持ち、より充実感のある生き方ができるように活動している団体です。

その活動の一環として、沖縄で海洋リハビリ体験ツアーを実施しています。(昨年のゴールデンウィークにも計画していましたが、緊急事態宣言のため延期)

障がいのあるお子さんのいるご家庭は飛行機での移動や海での活動に不安や困難を伴う場合が多いですが、海洋リハビリ体験ツアーでは専門のスタッフがサポートすることでお子さんもご家族も安心して旅行を楽しむことができます。

また、楽しんでもらう目的のほか、家族だけでも旅行に行けるように自信をつけてもらうという、自転車の補助輪のような役割も持っているのが海洋リハビリ体験ツアーです。

ツアーでは障がいがあっても安全な遊泳方法を紹介しており、既にツアー参加経験のあるご家族が不安なく実践している様子を見ることもできました。

今回のツアーは障がいのあるお子さんと親のペアが5組、看護師が5名同行し、その他のスタッフやお金をまわそう基金からの1名などを含めると総勢20名以上となりました。

このほかに現地の専門的なサポートスタッフの方々が海での活動をサポートしてくれます。

3日間のうち、1日目にプールでの遊泳、2日目に海洋リハビリ体験、3日目は移動という予定が組まれています。

プールで練習

沖縄へは羽田空港出発と中部国際空港出発の2組で向かい、スタッフ等のサポートもあり、特に大きな問題もなくホテルに到着しました。

ホテルに着いて少しした後、プールでの遊泳体験が行われました。

空港やレンタカーでは特に楽しそうな様子ではなかったS君ですが、プールに来ると大はしゃぎでバシャバシャと水遊びを楽しみ、この日一番の笑顔を見せてくれました!

プールを満喫するS君

プールの中でT君ファミリーとも合流し、お互い遠慮や戸惑い等なく自然に助け合っている様子が印象的でした。

お子さんを他の家族に安心して預けられる場という意味でもこのツアーは貴重であると言えそうです。

プールとプールサイドの間の段差や男女別の更衣室などの困難も家族同士の協力で対応できました。

この日の天気や翌日の予報が悪く、天候に不安は残りますが、プールで存分に水に慣れて海洋リハビリの準備は万端です!

その後、皆で沖縄のおいしい夕飯を食べながら、海洋リハビリを行ううえで必要なケアについてそれぞれのご家族ごとに丁寧な最終確認があり、1日目の予定は終了しました。

海洋リハビリ体験

2日目はスタッフミーティングの後、朝から早速海洋リハビリ体験開始です。

皆の願いが通じたのか、それまでの雨予報が嘘のような快晴になりました!

海洋リハビリ体験では、1人1人のお子さんにサポートする担当者がつき、その子の状態に応じて最適な形でアクティビティを行っていきます。

もちろん、その中にはその子にとって初めてのものもありますが、サポート体制がしっかりしているので積極的に挑戦することができます。

例えば、ツアー初参加のNちゃんは付けている器具の関係で水には特に注意が必要です。

Nちゃんのお母さんからは、「どんな体験も初めてだからなにか1つでもできればうれしい」と事前にお聞きしていました。

お母さんとの水中ハンモックで海に慣れるNちゃん

そんなNちゃんはお母さんと一緒に初めての水中ハンモックでリラックスした後、浮き輪を2重にして海の遊泳にも挑戦!

最初は少し緊張した様子でしたが、やがてとびきりの笑顔がいっぱいに広がりました。

周囲のスタッフも笑顔にさせる最高の表情を見せてくれました!

器具を付けたNちゃんがそのような姿を見せてくれたこともあり、お母さんからは「こんなことができるなんて!」と感動の声が漏れていました。

皆思い思いの時間を過ごしていましたが、お子さんたちそれぞれに共通するのはこの時にツアー中で最高にいい顔を見せてくれたということです。

それと同時にお子さんが普段とは違う姿を見せてくれることも多くあり、自分や周囲のサポートスタッフは「すごい!泳げた!」などと驚きを隠せませんでした。

救命胴衣を見事に使って背泳ぎするI君

 

100点満点の姿勢でバタ足を披露するRちゃん

 

迫力満点のドラゴンボートを気に入ったS君

 

満面の笑顔でみんなに手を振るT君

このようにして誰にとっても楽しい時間が過ぎ、海洋リハビリ体験は無事に終了しました。

今回サポートしてくれたのは専門家の方々ですが、何をするのかさえわかれば一般の人でもすぐにできることが多くありました。

それを理解することで、ケアが必要なお子さんのご家族は自分でも自信をもって行えることが増え、そうでない人も困っているご家族をちょっとしたことで助けられるかもしれません。

「できない」ではなく、「できる」という視点から

今回の取材を通して感じたのは、特に障がいのあるお子さんに何らかの挑戦を促した経験やそれを目にする機会が少ない人ほど「障がいのあるお子さんが初めてやること」について、「不安」や「できない」イメージを持ちやすいということです。

ケアが必要なお子さんたちが楽しそうに泳ぐ姿を見て自分が驚いたのは、その子たちの「できる」ことの幅を無意識に決めてしまっていたからかもしれません。

そういった意味で、万全のサポートがあってお子さんたちが様々に挑戦できるこのツアーは貴重な場と言えます。

小さな挑戦と成功の積み重ねが自信を生み、障がいがあると様々なことが「できない」のではないかという多くの人の考え方が、障がいがあっても「できる」という考え方に変わっていったら・・・きっと障がいの有無に関係なく多くの人が自由にのびのびと生きられるようになるはずです。

そのためにも、障がいのある人とない人が交流してお互いをよく知る機会が必要です。

今回、一般の人でもできるような小さな助けが、お子さんの「できる」ことを引き出す様子を多く目にしました。

実際に自分もできる範囲でお手伝いを体験しましたが、荷物を持つ、器具を支える、手を引く、といった本当に些細なことでも助けになれると実感しています。

多くの人の小さな手助けが広がっていくことで、障がいのあるお子さんの本来「できる」ことが存分に発揮され、今回見せてくれたようなとびきりの笑顔が広がる、そんな豊かな社会ができるはずです。

NPO法人Linoについて

Linoでは、海洋リハビリ体験ツアーのほか、障がいのあるお子さんたちにも映画館の映画を楽しんでもらうインクルシネマという活動も実施しています。
どちらの活動でも子どもから大人まで幅広い健常者が様々な形で関わっているのが特徴的です。

Linoのビジョンには、

「健常者・障害者という垣根をなくし、自然と人が集まり、共存・助け合う世界をつくる~Diversity & Inclusionな世界の実現~」

が掲げられており、活動の現場ではこの言葉にぴったりの光景を見ることができます。

今はまだ限られた大きさの世界かもしれませんが、これがより大きく広がっていくことで社会は変わる、今回のツアーでそんな思いを強くすることができました。また、自分もその世界をつくるために協力したいと改めて思うきっかけにもなりました。

そのような誰もが認めあい、助け合う世界をLinoと一緒につくっていきませんか?ぜひご協力いただけますと幸いです。

Linoによるインクルシネマのボランティアについては以下のページで募集しています。

映画を使ったSDGs活動!《障害者も映画を楽しめる空間》を一緒に作りませんか by Lino (activo.jp)

 

こちらの集合写真につきまして、フォトグラファーのイシヅカマコト様のご厚意で使わせていただいております。ありがとうございます。