【セミナー報告】アスリートが「いのち」をつなぐ~ATHLETE SAVE JAPANの活動について~

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【セミナー報告】アスリートが「いのち」をつなぐ~ATHLETE SAVE JAPANの活動について~

プロ・ライフセーバーが語る「いのち」

4月27日(水)19時より「アスリートが「いのち」をつなぐ~ATHLETE SAVE JAPANの活動について~」と題したセミナーを開催しました。

 

登壇してくださったのは一般社団法人ATHLETE SAVE JAPAN(以下、ASJといいます)の代表理事 飯沼誠司さんです。

飯沼誠司さんは1997年に日本人で初めてライフセービング競技のワールドシリーズ「ワールド・オーシャンマンシリーズ」とプロ契約を交わした、日本ライフセービング界のレジェンドです。

現在はASJでの活動のほか、ライフセーバーの地位向上のための活動や後輩への指導に携わられており、さらには現役のライフセーバーとしても活躍されています。

 

そして、飯沼さんが代表理事を務めるASJは、アスリートが講師となって行う「いのちの教室」などの講習・講義・教室を通じて「安心・安全な環境づくり」を発信している団体です。

 

多くの命に向かい合い続けている飯沼さんだからこそ、プロの視点から「いのち」のお話をしてくださいました。

ASJ代表理事で現役のライフセーバーでもある飯沼誠司さん

まずお話ししてくださったのはライフセーバーとして命を救う際の考え方についてです。

ライフセーバーが命を救うということは、「誰かが溺れているところに飛び込んで救い出す!」というドラマチックなことだけを指すのではなく、そうならないための地道な「予防」も含んでおり、こちらもとても重要であるといいます。

 

つまり、事前に危険の芽を摘むことで、命の危険に直面させることなく確実に命を救うことができる…私たちが夏の海を楽しめるのはライフセーバーの方々による見えない努力のおかげなんだと気づいた一幕でした。

 

ASJでもこの考え方は大切にされており、ライフセーバーだけでなく、誰もが頭に入れておくべきことと言えそうです。

 

ASJの発足

ASJを立ち上げることになったきっかけは、2011年にサッカー元日本代表の松田直樹選手(当時34歳)が練習中に突然倒れ、その後亡くなってしまった事故にありました。

松田選手が倒れた時、その場にAEDはなかったといいます。

救急車が駆け付けましたが、その前にAEDを使うことができていれば…このような思いからASJはAEDを普及させるとともに、その使い方を実践する教室を運営しています。

スポーツの選手・観客のどちらもAEDを使えるようにしたいと語る飯沼さん

 

「いのちの教室」の広がり

ASJが行う「いのちの教室」では、受講者に命の大切さを伝えた上で、胸骨圧迫やAEDの使い方をはじめとした救命方法を実践も含めて教えています。

プログラムは45分程度にうまくまとめられ、子どもでも飽きずに積極的に参加してくれるといいます。

子どもたちが真剣に胸骨圧迫体験に取り組んだ結果、徐々に数百人のタイミングが合っていったことがあるとのことで、その様子を楽しそうに語る飯沼さんが印象的でした。

「いのちの教室」は東京オリンピック・パラリンピックの教育プログラムとしても採用されました。

そして、「いのちの教室」で学んだ子どもたちにはあるミッションが告げられます。

それは、「身近な誰かに今日学んだことを伝える」というもの。

子どもたちは学ぶと同時に先生にもなって、どこかで小さな「いのちの教室」を開くことになるのです。

こうして広がっていった「いのちの教室」の種が芽吹き、誰かの命を救うことになるかもしれない、そう考えるとこの活動の大切さがわかります。

 

AEDの8分

AEDを使うにあたって、人が倒れてからどれだけ早い段階で使えるかというのは人の命を救ううえで大きなポイントとなります。

そこで飯沼さんは「8分」という時間を語られました。

これは救急車が到着するまでの平均時間で、AEDが必要な状況では1分経過するごとに救命率が10%ほど下がるともいいます。

そのため、救急車が来る”前”の8分のうちに私たちがAEDを使うことが非常に重要になります。

8分というと長く感じるかもしれませんが、例えばAEDを取りに行く片道で5分かかってしまうともう遅いと言えそうです。

 

この8分以内にAEDを使うためには日ごろからどこにAEDがあるか自分の行動範囲だけでも確認することが大切であるといいます。

通勤・通学時に確認できる範囲でも意外といくつかあるかもしれません。

ちなみに私は通勤で10分ほど歩く中で6箇所発見しました。ぜひこの記録に挑戦してみてください!

このように、飯沼さんにASJの取り組みと「いのち」に関する大切なお話をしていただき、セミナーは終了しました。

参加者の方々も興味津々の様子で、質疑応答でもAEDの設置場所がわかるアプリの活用や教育現場におけるAEDの重要性についてなど多くの意見が交わされました。

 

以下はアンケートから得られた参加者の方の声です。

◇ AEDを拡げる、命を救う、アスリートのセカンドキャリアという活動、初めて知りました。有意義で活発な活動に期待しています。

◇ AEDの使い方を知っても実際に使っていいのか不安でした。心停止をしていなくてもAEDを使って大丈夫だということを知れてよかったです。

◇ AED講習の重要性を改めて認識しました。自分のSNSでも発信していきたいと思います。

私たちの身近にあるAEDですが、その重要性に改めて気づかされるセミナーだったことは間違いありません。

ご来場の皆様、遅くまでお付き合いいただきありがとうございました!

そして、「いのち」についての大切なお話をしてくださったASJの飯沼さん、本当にありがとうございました!

 

「いのちの教室」にご支援をお願いします!

ASJでは、「いのちの教室」を実施することで受講者に命の大切さやいざというときの対処法を伝えています。

また、登壇するアスリートのセカンドキャリア支援としても活用されており、アスリートの社会貢献活動の場にもなっています。

「いのち」を守るために大切な活動ですが、この活動を全国にさらに広めていくためには皆様のご支援が必要です。

全国の小中学校で「いのちの教室」を実施するために、皆様のご支援をよろしくお願いいたします。