「優しさの循環」で盛岡の子どもたちに愛を届ける!あたたかくて強い、ふたばの取り組み

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「優しさの循環」で盛岡の子どもたちに愛を届ける!あたたかくて強い、ふたばの取り組み

団体が始まったきっかけや活動への思いを生の声でお届けすべく、助成先団体の代表者の方へお話を伺うShall we KIFU?代表インタビュー。

第3回は、岩手県で子どもの学習支援を行う一般社団法人ふたばの、代表理事の橋本紀子さんと、理事の松岡あゆみさんにお話を伺いました。

一般社団法人ふたばでは、地域の大学生がサポーターとなり、生活困窮家庭の小学生から高校生向けの学習支援だけでなく、生活していく上で大切な知識を得られる場を提供しています。

 

ふたばを設立したきっかけ

 

 

田川
田川
ふたばは「女性3人で立ち上げた」とのことですが、設立の経緯を教えていただけますか?

 

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松岡さん

自分が子どもの時に、「もっと大人に色々話を聞いてもらいたかったな」という気持ちを持っており、子どもの話を聞いてあげられる養護教諭を目指していました。そのうち、「学校でもない家庭でもない、サードプレイスで子どもとの接点を持ちたい」と思うようになり、岩手県内の学習支援団体に就職しました。
そこで被災地の子どもの支援をしていたのですが、地域に根差した支援ができないかと考えるようになり、2019年に、2名の仲間とふたばを立ち上げました。

 

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橋本さん
私は、松岡さんが職員として働いていた学習支援団体で、ボランティアで英語を教えていました。彼女たちがふたばを立ち上げた後は、ふたばにもボランティアで関わっていたのですが、ふたばを立ち上げた3人の理事のうち、1人が引っ越しで盛岡を離れることになってしまったんですよね。
一般社団法人は理事が3人いないといけないので、自分が理事として加わることになりました。その時は、代表になるなんて思ってもいなかったですね笑。

 

左から、代表理事の橋本さん、理事の松岡さん、理事の加藤さん

 

ふたばで感じる課題

 

 

田川
田川

ふたばで活動する中で、どのような点を課題だと感じていますか?

 

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松岡さん

小さな法人で職員も少なく、日々の業務で手いっぱいですが、中でも課題と感じているのは、ふたばとつながることのできていない子どもがまだまだいる、ということです。

ふたばとつながった子どもたちは、大変な環境であったとしても、まだ良かったと思うんですね。なぜなら、学生サポーターやスタッフと接して、色々な価値観に触れたり話したりできる機会を持つことができるからです。

 

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橋本さん

親の病気や引きこもりなどで、親が外との関係性を断っていると、子どもには外の情報が入らないケースがあります。負の連鎖で、親、子、孫、と生活保護を3代に渡って受けているという家庭もありますね。

 

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松岡さん

もっと子どもの情報が欲しいと思っても、個人情報保護の関係で、学校からは十分に情報を得ることができません。
各町の教育委員会等と連携して、就学援助世帯にふたばのチラシを配ってもらったり、学習会に来た子供から、「こういう心配な子がいる」という話を聞いて、接点を見つけ出してはいるのですが、まだつながることができない、困難を抱える子どもが沢山いると思っています。

 

左から、インタビューに答える松岡さん、橋本さん

 

ふたばで経験した、嬉しかったこと

 

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松岡さん
嬉しいエピソードは、日々沢山ありますね!子どもたちの変化や成長が、小さいことでもとても嬉しいです。
ふたばに通い始めたある中学1年の子は、当初は挨拶するのも難しかったり、四角の図を書くこともできませんでした。そのため、学生サポーターと社会人スタッフで、「何がそうさせるのか」とその子の背景を考えたり、「この子には何が必要なのか」ということを何度も話し合ってきました。

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松岡さん
それから5年経ち、先日、その子がある専門学校に推薦で合格することができたのです。合格を目指して、人の眼を見て話すことや、自分の思いを伝える事、面接で自己紹介をする練習を一生懸命したんですね。
ふたばに来た頃は、乱暴な言葉をつかったり、かんしゃくを起こしたりしていました。その都度、「大きな音を出すと周りがびっくりするよ」と声かけをしていくうちに自分で気が付くようになり、自分から周りに「ごめんね」と言えるようになったりしました。
自分より後に入った子に優しく接している姿を見たりすると、成長を感じ嬉しく思います。

 

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橋本さん

その子はシングルマザーのご家庭で、男性は怖いという感情があったようです。ですが、男子大学生の学習サポーターとの関わりを通して、男の人でも大丈夫な人は大丈夫なんだ、という変化ももたらしたようですね。

 

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松岡さん
また、ふたばの学習会で学んだ子どもが大学生になって、学生サポーターとして戻ってくれることがあります。そういう優しさの循環を見ると、とても嬉しいですね。

 

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橋本さん

学生サポーターからは、「子どもから教わることが多い」という声をよく聞きますね。貧困家庭の子は、環境がそうさせるのか、優しくて気が利く子が多いです。学生サポーターは、そういう子と接する中で、自分が持っていた「困っている貧困家庭の子どもに教えてあげる」という先入観に気が付いた、とか、厳しい環境の中で頑張っている子どもと時間を過ごして、「自分も頑張らないと」と、刺激を受けることもあるようです。

 

大学生サポーターの皆さん

 

5年後のふたばの目標

 

 

田川
田川

「5年後にこうありたい」というふたばの目標はありますか?

 

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松岡さん

そうですね、つながることができない子どもたちが気軽に来ることができるような場所を作りたいです。例えば、一軒家をまるごと「ふたばの家」にして、気楽に来て話ができたりするような場所ができると良いですね。

 

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橋本さん

地図を見ていただくと分かるのですが、岩手県はとても広くて、今の規模だと遠くまでカバーできません。バスに乗って移動も可能ですが、盛岡駅からこの場所まで片道700円かかります。貧困家庭では交通費700円の負担がとても重いので、子どもを支援する拠点はいくつあってもたりないと感じています。

 

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松岡さん

はい、岩手は本当に広いので、本当なら一学区にひとつ位、子どもを支援できる場所が欲しいですね。

 

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橋本さん

幸い、毎年沢山の学生がサポーター登録をしてくれているので、子どもたちは良い時間を過ごしてもらえていると思いますが、規模が大きくなった際は、ふたばの理念に強く共感してくれる人に、スタッフとして加わってほしいですね。

 

こんな社会を作りたい!

 

田川
田川

最後に、お二人の「こんな社会を作りたい!」を教えてください。

 

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松岡さん

先日、「ニュージーランドのワークライフバランス」についての研修を受けました。その研修の中で、「自分にも優しく、他人にも優しい社会」という言葉があり、素敵だなと思いました。自分に優しくすることができてこそ、他人にも優しくできると思います。
私は、「全ては愛だ」と思っているので、もっと愛のある、あたたかい社会になればいいなと思っています。

 

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橋本さん

「多様性」という言葉がなくなれば良いと思っています。多様性って、「あなたと私が違うということを認めよう」ということですよね。
だから、「あなたと私は違う」ということが当然になれば、「多様性」という言葉はいらないと思うのです。
「違う」ということをジャッジする必要がない社会になれば良いのではないでしょうか。例えば、今は障がいのある人に手を差し伸べよう、とする社会ですが、手を貸すのが当たり前の社会になってほしいと思います。

 

田川
田川

本当にそうですね。ふたばが作り出す「優しい循環」が、どんどんこの地域に増えていくといいなと思いました。今日は、どうもありがとうございました!

 

**編集後記**

今回のインタビューを通して、橋本さんと松岡さんの子どもたちへの愛情や地域への熱い気持ちが強く伝わってきました。効率化や生産性にフォーカスされることが多い時代ですが、大学生サポーターの皆さんとスタッフの方々が、一人ひとりの子どもと真摯に向き合うことで生まれる子どもの成長・変化こそが、将来に向けた価値のある投資なのではないかと思いました。

お金をまわそう基金 田川

 

 

※一般社団法人ふたばの寄付受付は、お陰様で2021年11月に満額を達成いたしました。ありがとうございました!

一般社団法人ふたばの申請事業の詳細は、下記リンク先よりご覧いただけます。

 

申請事業詳細はこちら!