子どもたちに伝えたい、お金との付き合い方~フィナンシャルプランナーを経て、あいであるでの支援へ~

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子どもたちに伝えたい、お金との付き合い方~フィナンシャルプランナーを経て、あいであるでの支援へ~

団体が始まったきっかけや活動への思いを生の声でお届けすべく、助成先団体の代表者の方へお話を伺うShall we KIFU?代表インタビュー。

第2回は、公益財団法人あいであるの代表理事である木皿昌司さんです。

公益財団法人あいであるは、児童養護施設を退所し自活を始める子どもが直面する「孤立感・孤独感」「金銭管理」という悩みを解決するため、2015年に設立されました。

代表理事である木皿さんは北海道のニセコ町出身。雪の上を走る馬が引っ張るそりに、横からスキーで飛び乗るような元気な子供時代を過ごしていたそうです。

そんな木皿さんが、児童養護施設の子どもへカードゲームを通してお金の教育をする「マネークリップ」事業を始めた経緯を伺いました!

 

あいであるを設立したきっかけ

 

田川
田川

あいである設立のきっかけをお伺いできますか?

 

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木皿さん

私の父親は昔の軍人気質でしつけが厳しく、早く家を出て自立したいと思っていました。中学校卒業と同時に家を出る方法はないかと考え、「そうだ、就職しよう」と思い就職先を探した結果、自衛隊に入隊。11年6カ月ほど、自衛隊で働きました。

 

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木皿さん
自衛隊時代のお客様のご縁で銀行に転職し、その後はアメリカの生命保険会社に勤め、フィナンシャルプランナー協会の活動にも参画しました。外資生命保険会社を2社経験し、そこで一緒に仕事をしたメンバーが保険・金融事業を行う株式会社ライフフォースサポートを設立する際に自分も参画し、「会社の成長は大事だが、単なる保険代理店ではなくて、社会のためになる何か特徴のある事業もやらないといけないのではないか」という話になりました。それが、あいである設立に至る経緯です。

 

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木皿さん
その頃自分では、慈善活動というと赤い羽根共同募金くらいしか思いつきませんでした。
支援の対象を決める時、これからは高齢化社会で老人が大変だから、「高齢者をサポートする何かをやろうか」という話になりました。
しかし、「実は、世の中で一番困っているのは子どもではないか?」という意見も出ました。当時はあまり認知されていませんでしたが、最近は、親からの虐待問題や、虐待の結果子どもが亡くなってしまうという悲しいニュースを耳にすることが増えました。

 

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木皿さん
高齢者は選挙権もあるし貯金もある、家族もいるし、知恵もある。ですが、様々な事情で親と一緒に生活できなくなった子どもは、選挙権もないしお金もないし、周りに頼る人がいません。社会的養護の子どもたちの支援活動を続けてきた人の話を聞き「じゃあやってみよう」ということになりました。

 

あいであるのスタッフの皆さんと。左から2番目が木皿さん。

 

田川
田川
そうだったんですね。その際、事業の一つとしてお金の教育にフォーカスを当てた理由は何だったのでしょうか?

 

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木皿さん
自分の人生の中で、お金の意味について教えてくれるところって、あまりないですよね。私が銀行や保険会社等でお金に携わる仕事、ファイナンシャルプランナーとして働く中で思ったのは、「単なる年度ごとの収支」や「理論」だけではなくて、「人生にどういうことが起こるのか」や、「人生の中で様々な選択肢があること」、それらに「お金が深く関わっている」ということについて知らないといけない、ということです。

 

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木皿さん
ですが、18~20歳の子どもが、「お金が自分の将来にとってどういう意味があるのか」なんて、なかなか考えられないですよね…。子どもにとって、人生計画を立てるのは難しいと感じました。

 

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木皿さん
色々試行錯誤する過程で、ゲーム感覚で学ぶ仕組みを作れば、「お金はこうやって使うんだ」「貯蓄とはこういうことだ」ということにまで理解が及び、お金の大切さや使い方を、普段の生活に活かせるようになることが分かりました。それが、カードゲームで行うお金の教育、「マネークリップ」に落ち着いたのです。たまたま、その頃自分がお金を紙ばさみに入れてたので、「これだな」ということで名付けました。

 

あいであるを運営する中での苦労・喜び

田川
田川
あいであるを運営する中での苦労や喜びはどのような点ですか?

 

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木皿さん
大変だなと思うのは、寄付集めです。人様へお願いして、お金や物資を頂くという経験をしたことが全くありませんでしたから、どうしたらいいか分かりませんでした。今は子どもの支援への理解も深まりましたが、設立当時は理解が得られず、寄付も集まりませんでしたね。食べ物などを子どもたちに送る「実家便」の事業では、「食べ物」という目に見えるものなので支援内容が分かりやすいですが、お金のレクチャーは効果が分かりにくいので、苦労します。

 

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木皿さん
嬉しいことは、支援したお子さんからのお礼の手紙です。これはもう、読んだら涙が出ますよね。支援して頂いた皆さまにも読んで欲しいと思います。本人への配慮もあって、お見せすることはできませんが、皆に共感してもらえる方法があればいいなと思っています。

 

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木皿さん
コロナの前は、財団での活動とは別に数カ月に1回、施設を訪問し遊んだりしていましたが、今は全くできなくなってしまいました。マネークリップは当財団の職員が施設に伺って教えていましたが、それもコロナでほとんど止まってしまいました。その為、今回お金をまわそう基金の寄付募集で「マネークリップ」のレクチャーの紹介動画を作り、職員が行けない代わりに動画を見て学んでもらえる仕組みを作りました。

 

木皿さんとマネークリップ

 

日本のお金の教育に関する展望

田川
田川
義務教育課程でも金融教育の導入が進んでいきます。今後、日本でのお金の教育についてどのような展望をお持ちでしょうか?

 

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木皿さん
お金のことについて、教える人がいないという問題があると思います。フィナンシャルプランナー協会の海外研修で訪れたアメリカでは、高校の時に経済の時間があり、先生が自分が契約している保険や投資信託等について紹介していました。投資信託も短期で売買するのではなく、長期で保有するのが主流です。

 

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木皿さん
金融庁のデータによると、1995年からの20年間で、アメリカの家計金融資産は3.14倍になりました。それに対し、日本の家計金融資産は預貯金が多いため1.51倍の増加にとどまります。20歳くらいから40年間くらい投資すると、預貯金で持っているのと比べ大きく差が出ますよね。お金について教える人がいないと、そうなってしまうと思います。
投資経験のない現役の若い先生方が、急に教えろと言われても、なかなか難しいでしょう。

 

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木皿さん
そこで出番なのは、60,70代の高齢者ではないでしょうか。投資の経験や人生経験を積んだお年寄りが中心になって、若い世代に「人生におけるお金の使い方」を講義すれば面白いと思います。

 

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木皿さん
私がお金の大切さを学んだのは、自衛隊に入った16歳の頃からです。自衛隊では、上司がお金を管理し、お給料を強制的に貯金させられ、自分の小遣いは限られていました。ですが同時に、お金はこのように管理しないといけないんだなと思いました。そういう上司を見て学ぶことができたのは、貴重な経験でしたね。

 

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木皿さん
余談ですが、仁徳天皇の「民のかまど」という話はご存じですか?

 

田川
田川
いいえ、どのようなお話でしょうか?

 

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木皿さん
昔は学校で習ったのですが、「民のかまど」は日本書紀に書かれている5世紀頃の逸話です。仁徳天皇がお后と丘の上から民の住んでいる町を見たところ、夕方になってもご飯の準備をする煙が上がらなかったそうです。民は、夕飯も食べられないほど困窮していたためです。

 

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木皿さん
そこで、仁徳天皇は税金を3年間ゼロにしました。民の生活が豊かになるまで仁徳天皇は食事も住まいも倹約しました。3年後、もう一度丘の上から町を見た時は、家々からご飯の準備をする煙が上がっていました。「民が豊かになってこそ、自分たちも豊かになる」という話です。

 

 

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木皿さん
日本には、大昔からこのような「指導者のあるべき姿」像があったと思います。弱い者が困っていたら強い者が助けるという文化だったのに、今ではなぜか、強い人にばかりフォーカスを当て、弱い人が切り捨てられているように見えます。そういうことを防ぐためにも、お金の教育は大事だと思っています。お金持ちもそうでない人も、普段の生活の中でお金と人生の関わりを学び、より良いお金の使い方を学んでいくことが大切だと思いますね。

 

こんな社会を作りたい!

田川
田川
最後に、木皿さんの「こんな社会を作りたい!」を教えてください。

 

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木皿さん
人生において一番大切なのは健康で、その次はお金だと思っています。

この2つが良い方向に行くように、両方をバランス良く考えていく人が増えて欲しいですね。今まで様々なところで働いてきましたが、感じるのは、お金の使い方には、その人の生き方や考え方、人生観が反映されるということです。

 

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木皿さん
日本の武士は、お金は「不浄なもの」と言って財布も持たなかったらしいですね。なので、今でも日本では「お金は不浄だ」「お金の話は嫌だ」と感じてしまう人が多いように感じます。

 

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木皿さん

ですが、使い方によっては、「お金」は不浄ではありません。むやみにお金を増やすことばかり考えるのではなく、良い「お金の使い方」を子どもたちに教えていきたいと思っています。いくら貯めたって、死ぬ時にお金はあの世に持っていけないのですから。

田川
田川

本当に仰る通りですね。「マネークリップ」を通して、多くのお子さん達がお金との前向きな付き合い方を学び、バランスが取れた生活をしていくきっかけになればと思います。本日は貴重なお話をいただき、ありがとうございました!

**編集後記**

木皿さんのお話を伺い印象的だったのは、「お金の使い方に、その人の生き方や考え方、人生観が反映される」という言葉です。節約や貯蓄、投資などの知識を身に付け、実践することは何よりも大切ですが、同時に、「何に使うか」「どのように使うのか」も同じくらい大切で、最終的には自分で考え自分で決めていかなければいけません。子どもの頃からお金や自分と向き合う習慣を持つための、あいであるの取り組みが、より多くの施設に広がっていくように願ってやみません。

お金をまわそう基金 田川

 

 

※公益財団法人あいであるの寄付受付は、お陰様で2021年11月に満額を達成いたしました。ありがとうございました!

公益財団法人あいであるの申請事業の詳細は、下記リンク先よりご覧いただけます。

 

申請事業詳細はこちら!