
2024年度のNPO法人Linoの活動にご支援いただき、誠にありがとうございました。
Linoは、医療的ケア児(以下、医ケア児)や重度の障がい児とその家族だけでは困難な旅行を、医療従事者などのサポートスタッフが付き添うことで負担を減らし、気軽に体験可能とする「Linoツアー」を実施しています。
2024年度は、9月に沖縄での海洋リハビリ体験ツアー、11月にDisneyツアーを開催しました。
そのうち海洋リハビリ体験ツアーにつきましては、皆様のご寄付により実施することができました。改めて皆様のご支援にお礼申し上げます。
そのため、ご寄付で実施できた海洋リハビリ体験ツアーで医ケア児やご家族にどのような体験を提供できたか、以下で詳しく報告させていただきます。
初めての挑戦ばかりの海洋リハビリ体験ツアー
海洋リハビリ体験ツアーは、遠方への外出が困難な医ケア児とその家族の沖縄への旅行にスタッフが付き添う活動で、現地で専門のスタッフと共に海に入って様々な体験をするという点が大きな特徴です。
医ケア児やその家族が海に入る場合は様々なリスクを考慮しなければならないため、この機会に初めて海に入るという医ケア児も多くいます。
海洋リハビリ体験ツアーは2018年から行っており、これまで何人もの医ケア児や重度の障がい児に海での体験を届けることができました。
これまで毎回同じホテル・ビーチで実施していましたが、ノウハウが十分蓄積されたこともあり、2024年度は沖縄県内の別のホテル・ビーチでの開催に挑戦することとしました。
医ケア児とその家族にこれまでと同様の体験を届けられるか不安もありましたが、参加者へのツアー終了後のアンケートでは、満足度について5段階中5が40%、4が60%であり、今後も同様のLinoツアーへの参加を希望するという回答も100%であったため、概ねこれまで通り満足度の高いツアーを実施することができたと考えています。
また、実施場所以外で今回新しく挑戦した取り組みとしては、飛行機での「アシストシート」の利用があります。
アシストシートとは、座った姿勢を保ち続けることが難しい人のためのチャイルドシートで、今回はその利用が可能な飛行機に搭乗しました。
参加者の中には、椅子に長時間座り続けることができないためこれまで飛行機での移動に困難を感じていた子もいましたが、アシストシートの利用により安全に姿勢を保つことができ、機内でも安心した時間を過ごしてもらうことができました。
今回の経験についてSNS等でも発信し、医ケア児や重度の障がい児とその家族が外出する勇気を持てるように努めます。
参加されたご家族の声
ツアーに参加されたご家族からは、以下の感想が寄せられました。
(お子様やご家族に、ツアー体験が影響していると感じる変化や成長などはありますか?という問いに対して)


沖縄って時差あるっけ?というくらい親二人は1週間くらい眠たくて仕方なかったです

(海に入って行う体験についての感想として)

私も子どもが生まれてから毎年海には行っていてもビーチで荷物番とカメラマンで海の中には入っていなかったことを沖縄の海に浮かんだ時に思い出しました〜とても気持ちよかった〜一生忘れません
このような声から、今回の海洋リハビリ体験ツアーを通じて「参加者の意欲と生活の質の向上に繋げる」という事業目標を達成することができたと考えています。
アンケートでは、「参加して良かったこと」に「参加者同士のつながりが生まれたこと」を挙げる方が多くいらっしゃいました。
そもそもこれまでは団体と何らかのつながりを持った方やお知り合いから紹介された方の参加がほとんどで、多くの場合ご家族同士も何らかのつながりがありましたが、ツアーの実施及びその発信を続けたこともあり、今回はSNS等でツアーを知って参加された方が多くなりました。
こうして実際に会うのは当日の空港が初めてというご家族が多いツアーとなりましたが、飛行機での移動や自宅以外での宿泊など、ご家族同士でも協力し合いながら日常とは異なる特別な時間を過ごされたことで、急速に仲が深まったと考えています。
家族同士のつながりはその後の日常生活をより良いものにするためにも重要であるため、今後のツアーでもそうした面により力を入れていきたいと思います。
一方で、実施場所の変更により、
- アメリカンビレッジで食事や買い物が楽しめるのはとても良かったが、マリンアクティビティをもっと体験したかった
- 観光客なのか街に人が多くいて、バリアフリーになっていない場所も多く歩いてお店を探すのは大変でした
などの声もありました。
できる限り多くの医ケア児とその家族に寄り添い、その後の生活への自信につなげられるようなツアーができるように、宿泊場所や実施内容については今後も団体内で検討を重ねていきたいと思います。
以上が2024年度の海洋リハビリ体験ツアーについてのご報告となります。
Linoは、今後も旅行などの体験を通じて医ケア児や重度の障がい児とその家族の日常をよりよいものとするための活動を続けていきます。
引き続き、活動をお見守り頂けますと幸いです。
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2025年度の活動につきましても、現在寄付を受け付けています。
皆様の温かいご支援を何卒よろしくお願いいたします。