日本では2万人以上の子どもたちが、親による虐待や育児放棄などを受け児童養護施設で暮らしています。彼らの多くは18歳になると児童養護施設を退所して進学や就職をしますが、頼れる人もおらず、十分な準備もないまま自活しているのが現状です。
公益財団法人あいであるは、社会的養護で育った子どもたちの自立を支援するため、退所から5年間にわたって年2回、子どもたちを養育していた施設からの申請を受けて食品や生活用品などを詰めたギフトボックス「実家便」を送っています。
今回は、そんな実家便に込められた公益財団法人あいであるの想いを理事の吉田倖子さんから、実家便に賛同し自社商品のタオルハンカチの提供を通じて子どもたちを支援する企業の想いをブルーミング中西株式会社 執行役員の橋本大輔さんから伺いました。
孤独を抱える子どもたちを「実家便」で支えたい
それに加えて、「孤独感・孤立感」というもう1つの悩みもあります。
でも児童養護施設から巣立った子どもたちにはそういったことがありません。ですから「社会に放り出されてしまった」「自分には気にかけていてくれる人がいない」という孤独感・孤立感を抱えている子がとても多いのです。実家便では、食品や生活用品などのモノだけでなく、児童養護施設の職員からの手紙やボランティアからのメッセージを一緒に届けています。「あなたは独りじゃない」ということを子どもたちに伝えたいのです。
タオルハンカチに込めた想い
今回は実家便の中から、ブルーミング中西株式会社が提供しているタオルハンカチに焦点を当てたいと思います。なぜ実家便にタオルハンカチを入れようと思ったのですか?
でも大切なことなので、子どもたちの助けになれたらいいなと思いまして。それにタオルハンカチなら、アイロンがけが不要なので子どもたちも楽ですし。
こういった心配りがあるからこそ、受け取った子どもたちが「自分のことを気にかけてくれる人がいる」と感じられるのでしょうね。
社会に貢献できる企業をめざす
想いの込められたタオルハンカチを実家便に提供しているのがブルーミング中西株式会社です。
まずは橋本さんから、簡単に会社の紹介をお願いします。
ハンカチの取扱いがメインですが、ポーチなどの雑貨からテーブルクロス、ホテル用のリネンなども取り扱っています。
吉田さんのお知り合いが当社をご存じだったんですよね?
あいであるの話を聞いて、社内ではどんな反応があったのですか?
ちょうど社内で、当社が掲げている「社会に貢献できる企業をめざす」ということについて、何かもっとできることはないかと考えていたので、絶好のタイミングだったのです。
運命的なご縁ですね。
御社の社会貢献への姿勢はどこから生まれたのでしょうか。
これまでに戦争や震災、大きな事故など様々な苦境がありました。当社が今あるのは、そういった苦しいときに、社員やお客さまはもちろん取引先や地域の方々など多くの人が支えてくださったからです。
ですから「社会に貢献できる企業になろう」、「目先の利益より、誰かの役に立つことを優先しよう」という考え方が、社内に脈々と根付いているのです。
ですから、厳しい業績が続いたときでも、社会貢献の取組みには社員の誰からも見直しの声は上がりませんでした。
苦しい状況にある子どもたちを支えようという取組みですから、業績が悪くなったら縮小するというものではないと、社員みんなが分かっているのだと思います。
145年の歴史の中で培われ受け継がれてきた企業精神が、ひとりひとりに浸透しているのですね。
モノに想いを込めておくる
社会貢献をするにも色々な選択肢があると思いますが、その中で実家便への商品提供を決定する「決め手」となったのは何ですか?
児童養護施設を退所した子どもたちを支援するという取組みの内容はもちろんですが、「モノに想いを込めておくる」という実家便の趣旨が、当社の考え方と一致していることだと思います。
ハンカチは、機能としてはただ手を拭くだけですが、「おばあちゃんがくれた」とか「人生の節目にもらった」とか、そこに込められた想いがもらう人にとっての価値になると思うんですよ。
実家便を支援されている背景には「モノに想いを込めておくる」という理念への共感があるのですね。この理念を、実家便のタオルハンカチではどのように表現していらっしゃるのですか?
こういうメッセージ、きっと子どもたちに届いていると思います。
受け取る子どもたちのことを想像しながらメッセージを考えるのは楽しいですよ!
心のこもったご支援をいただき、本当にありがたいです。
自分のことを知らない、会ったこともない人が自分を応援してくれている、気にかけていてくれるというのは、皆さんが想像する以上に子どもたちの支えになります。送る側の気持ちは、絶対に伝わっていますから。
あいであるからのメッセージ
私たちにとっての理想は、この活動が必要なくなることです。
でもすぐには難しいので、せめてより多くの人に知ってほしいです。
いつの時代にも弱い立場の人がいること、不遇にめげず頑張っている子どもたちがいることを知ってほしい。
それが、厳しい状況にある子どもたちを抱摂し、社会全体で支え見守ることに繋がるのだと思います。
本当にその通りですね。
こういった活動がより多くの人の目に留まるよう、私たちも精一杯頑張ります。
吉田さん、橋本さん、本日はお忙しいなか貴重なお話をありがとうございました!