不登校の子どもたち

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不登校の子どもたち

ゴールデンウィークが終わり、心身の調子を崩しやすいこの時期。「五月病」という言葉もあります。

子どもたちにとっても、夏休み・冬休み・春休みそしてゴールデンウィークなどの長い休みの後は、不登校になりやすいタイミングでもあります。

急増している子どもの「不登校」について、データをもとに、社会における問題とは何かをご紹介します。

 

不登校とは

不登校は、病気や経済的事情以外の理由で1年間に学校を30日以上欠席することとされています。その数はコロナ禍中に急増し、2022年度には中学生19万3936人、小学生10万5112人に上りました。1991年からのおよそ30年間に、小中学生の数が143万人から94万人へと3分の2に減少している一方で、不登校の数は6.7万人から29.9万人へと、4倍以上に増加しています。

欠席をしているが30日に満たない子どもや、保健室登校などをしている子どもなど、不登校の定義には当てはまらないけれど、学校に行くことに困難を感じている子どもたちはその何倍もいることが予想されます。

 

不登校の原因はなにか

では、なぜ子どもたちは不登校になるのでしょうか。

不登校の子どもたちを対象にした文科省の調査では、最初に学校に行きづらいと感じたきっかけとして、小学生・中学生ともに約25%が「友達のこと(いやがらせやいじめがあった)」と回答しています。また、小学生では29.7%、中学生でも27.5%が「先生のこと(先生と合わなかった、先生が怖かった、体罰があったなど)」と回答しています。

また、小学生の26.5%、中学生の32.6%が「身体の不調(学校に行こうとするとおなかが痛くなったなど)」と回答しています。

その一方で、小学生の25.5%、中学生の22.9%が、「きっかけが何か自分でもよくわからない」と回答しています。

友人や先生を含む人間関係、勉強、体調など様々なきっかけが挙げられていますが、不登校の要因は子どもごとに様々であり、複数の要因が関係していることも考えられます。

同調査では、学校を休んでいる間の気持ちとして、小学生・中学生共に約7割の子どもたちが「ほっとした・楽な気持ちだった」と回答しています。この回答から、多くの場合において、不登校は、学校ですり減ってしまった子どもたちの悲鳴なのだということが伝わってきます。

 

不登校の子どもたちへの影響

不登校はそれ自体が問題ではありません。

疲れ果てた子どもたちを無理に学校に連れていくことは苦痛でしかないしょう。

その一方で、学校に行かないことにより、子どもたちが教育にアクセスできないと、学習を進めることができなくなってしまいます。また、不登校により進学の選択肢が狭まってしまう可能性もあります。

学習以外にも、心身の成長に影響が生じる可能性があります。例えば、学校に行けない自分に対して、自信を失い、自分の将来を悲観してしまう子どもがいます。また、学校に行かず、家に引きこもってしまうと、成長の過程で必要な友人や周囲の人々と関わる機会や、学校に行っていたら得られていた様々な経験の機会が失われてしまいます。

このような、教育へのアクセスや様々な機会の喪失などが重なり、子どもたちが将来に希望を持てなくなってしまうことが、不登校の大きな問題です。

 

不登校の家族への影響

不登校は本人だけでなく、その家族にも影響を及ぼします。

NPO法人登校拒否・不登校を考える全国ネットワークが不登校の子どもを持つ親を対象に行ったアンケート調査によると、子どもの不登校をきっかけとして、25.6%が「早退・遅刻が増えた」など、働き方に変化が生じていることが分かりました。3分の1の親が不登校をきっかけに収入が「減った」と回答しており、「収入がほぼゼロになった」との回答も2.6%ありました。子どもが低学年の場合、一人で家にいさせることが困難なため、親は一緒に家にいる必要があります。ひとり親家庭の場合は、働くことができなくなり、収入が無くなるという事態に陥ることもあるのです。

NPO法人登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク「不登校を持つ親の全国アンケ―ト」(2022)をもとに当財団作成

経済的な面だけではなく、64.9%の親が「不登校の原因が自分にあると自分を責めた」と回答し、52.0%が「孤独感・孤立感」を感じたと回答しています。子どもが不登校となることで、親も苦しんでいることが分かります。

NPO法人登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク「不登校を持つ親の全国アンケ―ト」(2022)をもとに当財団作成

不登校になった場合、不登校の子ども本人に対する支援のみならず、親や家庭に対するケアも求められていることがうかがえます。

 

まとめ

不登校は、それ自体は問題ではありません。しかし、現在30万人近くいる不登校の子どもたちが、学びを続けることができなくなってしまうこと、将来に希望を持てなくなってしまうことは、社会にとって大きな課題です。

社会が目まぐるしく変わり、様々な個性を持つ人が求められている中で、たまたまその学校に、または学校という制度に合わなかったとしても、子どもたちが学びを続けることができ、健やかに成長できる場が求められています。そして、それぞれの場で成長した子どもたちが、希望を持って人生を歩んでいけるような社会が求められています。