【セミナー報告】知って欲しい「難病児とご家族への夢の旅行」 

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【セミナー報告】知って欲しい「難病児とご家族への夢の旅行」 

10月4日(金)、公益社団法人ア・ドリーム ア・デイ IN TOKYOとのセミナー『知って欲しい「難病児とご家族への夢の旅行」』を開催し、15人の方に参加していただきました。

ア・ドリーム ア・デイ IN TOKYOは、ターミナルステージに移行する恐れのある3~18歳までの難病児とご家族を東京への旅行に招待し、夢の時間を過ごしてもらう事業を行っています。

今回のセミナーでは、多くの難病児やご家族と実際に会いながら旅行の準備から実行まで行っている、理事の津田和泉さんから団体の取り組みとその意義をお話しいただきました。

 

小児科医の思いから始まった『ア・ドリーム ア・デイ IN TOKYO』

難病児の飛行機での移動に付き添うボランティアの小児科医

※難病児の飛行機での移動に付き添うボランティアの小児科医

日本では医療技術の進歩により新生児の死亡率は年々低くなり、多くの難病の子ども達の命が助かっています。しかしそれは、助かった難病の子ども達が病気と長く闘うことを意味しています。

気管切開や経管栄養、人工呼吸などを自宅などで行う医療的ケアが必要な子ども(医療的ケア児)は年々増加し、2019年には19,000人に達する見通し(※)です。
※平成30年厚生労働科学研究田村班報告より

そうした医療的ケア児のいる家庭では、症状にもよりますが2時間おきに痰の吸引をするなど24時間の看病が必要となります。そのため難病児とその家族は、

・看病をする多くの母親が、常に寝不足の状態
・母親が仕事を辞めざるをえず、経済的に困難なことが多い
・家族全員で出かけることが非常に難しい
・社会との接点が限られてしまい孤立しがち

という問題を抱えやすい傾向にあります。

そうした状況にある家族に対して、小児科の医師たちが中心となり「病院でできないことをしよう。治らない病気と闘うこどもも楽しめる時間をサポートしよう」「家族全員で出かけるという、日常にないスペシャルな時間を持つことで、全員が笑顔で過ごす時間を提供したい」という思いから、2007年にア・ドリーム ア・デイ IN TOKYOの活動がスタートしました。

小児科の医師が多く参加していることもあり、特に類似の他団体では対応が困難な、意思表示が難しい子や、希少難病の子ども達の支援に力を入れています。

 

難病児とご家族に「安心・安全」で「楽しい」旅行を

旅行までのプロセス

※安心で楽しい旅行にするための綿密な準備

難病児とご家族の旅行では、「安心・安全であること」と「楽しめること」を大切にしています。

旅行の申し込みがあると、まず病児の主治医の診断と小児科医で構成する審査委員会による審査を行います。そこで問題がなければ、津田さんが家族のもとを訪問して病児や家族の様子を確認して旅行のプランを立てています。

その後、食事や移動、宿泊先などの手配やボランティアの依頼などをしていきます。宿泊先でのベッドの角度など細かな所まで気を配ります。こうして半年から1年かけて旅行の準備が進められます。

そうして迎える旅行当日は、家族全員が非日常の時間を楽しめるように、特に病児の兄弟姉妹が遠慮することなく思い切り楽しめるように、企業ボランティアが夢の時間をお手伝いをします。

そんな安心・安全で楽しい旅行ですが、とても多くの人と資金を必要とします。症状や家族構成にもよりますが、例えば福岡から東京へ家族4人を4泊5日で招待するためには、約120万円が必要となります。

現在ア・ドリーム ア・デイ IN TOKYOでは、こうした旅行に年間10組前後のご家族を招待しています。

 

そこまでして旅行をサポートする理由

※活動の意義を熱く話してくれた津田さん

こうした活動をしていると「そこまでして旅行する意義はあるんですか?」と問われることがあります。また、企業に支援をお願いに行くと「費用対効果が悪い」と言われることもあります。

確かに旅行は必需品ではなく、プラスアルファの喜びの時間です。しかし、看病に追われ孤立しがちな病児とご家族にとっての家族旅行は、家族の笑顔を取り戻すとても大きなチャレンジになります。

しなくてはいけない訳ではないけれど、旅行ぐらい大きなインパクトがあると、「あー遠くまで行くことができたな」という自信になったり、「思い切り大人のお兄さん(ボランティア)たちと楽しい時間を過ごせたな」という一生の思い出になったりもします。

生活必需品ではない、もう一歩先の喜びの部分が少なくなりやすい家族に、だからこそあえて、そこの部分にこだわりたい。医療や行政では手が届かない部分を、他の団体がしり込みするところを、費用が掛かることかもしれないけどそこをやろうという思いで活動しています。

 

旅行に参加したご家族からの言葉から見える活動の意義

旅行中の親子の一コマ

※旅行中の親子の一コマ

ア・ドリーム ア・デイ IN TOKYOという団体名は、英語のことわざが元になっています。
・An apple a day keeps the doctor away.
(1日1個のリンゴで医者いらず)

旅行に来て1日1つの夢をかなえたら、それはどんなことにつながるのでしょうか?実際に旅行に参加したかご家族からの言葉からは、家族が抱えていた問題と変化が見えてきます。

「子育ての時間を取りにくいお父さんが、病児の妹とゆっくり話ができました」
「体を動かせないはずの病児がディズニーランドでミッキーに向って手を振ることができました」
「義母にも旅行に参加してもらい、わだかまりが薄まりました」
「外出する勇気がでました」(病児と出かけた際に、暴言を受けたご家族)
「不登校だった病児の兄が、学校に通えるようになりました」(病児の兄弟姉妹には、病児の事をからかわれたり、いじめの対象にされ学校に通えていない子は多い)
「普段は看病に消極的な夫が、旅行後は手助けしてくれるようになって驚き」
「地域で同じように困っているママたちと交流するきっかけになりました」(旅行後に病児を看取ったのち、他のご家族の支援を始めたお母さん)

旅行という機会を得ることで、
・家族の絆を結び直し、コミュニケーションが回復する
・社会から孤立している家族が、地域の生活に参加するきっかけとなる
・病児が亡くなった後、残されたご家族が前向きに生きる契機となる
といったところに、難病児とご家族の旅行の意義があることが分かります。

 

~ご支援のお願い~

参加した子ども達からのメッセージ

※参加した子ども達からのメッセージ

現在20名の病児とご家族が旅行を待っており、2年近い待ち時間になっています。中には、選考委員会の小児科医から「早く呼んであげた方がいい」と言われる子もいます。そういった子ども達に2年という待ち時間は長すぎます。これを短縮することが団体にとって今一番大きな課題です。

1人でも多くの子どもを1日も早く旅行にに招待し、ご家族に前向きな気持ちを取り戻してもらうため、ご支援をよろしくお願いします。

 

・頂いた寄付は全額を公益社団法人ア・ドリーム ア・デイ IN TOKYOへお届けします。

・お金をまわそう基金からの寄付は税制優遇措置の対象となります。

 

この活動に寄付をする

~寄付の使途~

寄付金は、『難病児の夢の実現とご家族全員の楽しい思い出作りを支援する事業』に充てます。

招待するお子さんの中には、終末期に移行する恐れのある重症児もたくさんいます。彼らにとって、2年近い旅行までの待ち時間は長すぎます。一日も早く一人でも多くのお子さんとご家族に夢の時間・かけがえのない思い出作りをお手伝いするために、活動にご賛同いただければ幸いです。

総額 6,938,390円
募集額 1,200,000円
内訳
  • 旅費交通費592,590円
  • 借料、賃貸料189,000円
  • 業務委託費320,000円
  • 備品費172,800円

※上記の金額は、2018年12月から2019年11月までにかかる費用となります。