重症心身障害児向けの放課後等デイサービス『わいわいくらぶ油平』

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重症心身障害児向けの放課後等デイサービス『わいわいくらぶ油平』

6月下旬、NPO法人秋川流域生活支援ネットワークが運営する、重症心身障害の子ども向けの放課後等デイサービスの事業所『わいわいくらぶ油平』を訪ねました。

重症心身障害とは、重度の知的障害と重度の肢体不自由が重複している状態をさします。また、放課後等デイサービスとは、障害を持った子ども達が放課後や夏休みなどの長期休暇中に通える場所で、子ども達それぞれに合わせた生活能力向上のための療育とともに、居場所づくりや保護者支援を行います。

わいわいくらぶ油平は、JR五日市線『秋川駅』から徒歩3分、あきる野市内の住宅街にあるアパートの1階に入居しています。一見普通のアパートですが、入居の際にフルリフォームをしており、限られたスペースを効率良く使えるように工夫が凝らされています。駐車場には子ども達を送迎するための、車いす対応のワンボックスカーが止まっています。

わいわいくらぶ油平の活動

お話を伺った庄子さん(左)と横野さん(右)

わいわいくらぶで管理者を務める庄子さんと、秋川流域生活支援ネットワークの横野さんから、こちらでの活動について教えてもらいました。

わいわいくらぶ油平は定員5名の施設です。小学生から高校生の重症心身障害の子どもを対象とし、平日の放課後と長期休暇等の午後の時間で受け入れをしています。他にも未就学児を対象とした児童発達支援も行っており、現在は2歳の子を受け入れています。

こちらの放課後等デイサービスに通っている子どもは、全員近くの特別支援学校『都立あきる野学園』に通っています。学校の授業が終わった後に、わいわいくらぶ油平からの迎えの車に乗ってやってきます。こちらで放課後の時間を過ごした後、17時半頃から車でそれぞれの家に送っていきます。

後付けのリフトなどを備えた浴室

わいわいくらぶ油平の大きな特徴に入浴サービスがあります。入浴はお風呂上がりのストレッチの時間も含めると一人当たり20~30分かかります。浴室の後付け式のリフトを使ってスタッフ2名で行いますが、それでも中高生を入浴させるのはかなりの重労働だそうです。

放課後等デイサービスは療育施設と呼ばれ、体のケアや発達を促す場であり、生活介護の領域である入浴サービスを行う施設はほとんどありません。しかし、この地域には訪問介護などの地域資源があまりありません。かといって、家庭で毎日行うことは親にとって大きな負担となります。

そうした背景もあり、わいわいくらぶ油平では入浴サービスを継続して行っています。

わいわいくらぶ油平が抱える課題

近年、放課後等デイサービス事業の事業所数は急増しており、厚生労働省によると2019年3月時点の事業所数は13,268か所(*1)まで増えています。これは全国にある中学校10,270校(2018年時点)(*2)より多い数になっています。

そんな放課後等デイサービス事業ですが、重症心身障害の子ども向けの事業所はあまり増えていないそうです。わいわいくらぶ油平のある秋川流域(あきる野市、日の出町、檜原村)でも、重症心身障害の子ども向けの放課後等デイサービス事業を行っている所は他にはありません(2019年6月時点)。

放課後等デイサービスでは、受け入れた子どもの実績に応じて国と自治体からの給付費と利用料が発生します。しかし、重症心身障害の子どもは、体調不良によるキャンセルが発生しやすい状況にあります。わいわいくらぶ油平でも、月に20件前後のキャンセルが発生しています。定員5名に対して、毎日ほぼ1人キャンセルが出ている計算になります。

キャンセルの連絡がくるのは直前になる事が多いため、事前にスタッフの人数を調整することは困難です。キャンセルが発生した場合のための欠席時対応加算という給付制度もありますが、看護師など専門性の高いスタッフの配置が必要となる重症心身障害児向けの施設にとって、人件費を賄える内容とはなっていません。そのため経営は厳しく、新たな事業所がなかなか増えていかない状況が続いています。

わいわいくらぶ油平でも厳しい経営状況が続いています。しかし、都立あきる野学園には20名もの重症心身障害児が在籍しており、他に受け入れ先が増えない中で、わいわいくらぶ油平へのニーズは非常に高い状況が続いています。

現在は、運営母体であるNPO法人秋川流域生活支援ネットワークの『地域に必要な社会資源は赤字でも事業を継続する』という方針のもとで事業を継続することができています。しかし、継続的な活動を行うためにも安定した運営資金の確保は喫緊の課題となっています。

(*1)参考:厚生労働省『障害福祉サービス等の利用状況について』
(*2)参考:文部科学省『学校基本調査』

子ども達の様子を見学させていただきました

14時半ごろ、子ども達を迎えに行った車が戻ってきたので、活動の様子を見学させてもらいました。

この日は5人の予約がありましたが、1人は後からの参加、もう1人は体調を崩してキャンセルになったため、小学校2~4年生の子ども達3人でのスタートとなりました。ここに通う子たちは未就学の頃から通っている子も多く、この日参加した子ども達は3~5歳頃から通っているそうです。

子ども達がそろうと最初に検温をし、家庭や学校からの引継ぎ事項が書かれた連絡ノートを読み上げて、子ども達の健康状態などをスタッフ全員で共有します。ここに通う子は体調の変わりやすい子が多いため、とても大切な情報です。

それが終わると『おやつ』『トイレ』『入浴』『体操・ストレッチ』を交互に行っていきます。スタッフ同士が連携して、子どもを車椅子から降ろしてトイレに連れて行ったり、車椅子にテーブルをセットしておやつを食べさせたりしています。また、なかなか落ち着きかない子はパペット(手人形)を使ってあやしています。

この日は5人の予約が入っていたため、スタッフの方は6人来ていました。私の眼には、みんなが無駄なく動いているよう見えましたが、庄子さんによると人手が余っている状態だということでした。

一番大切にしている事

 

わいわいくらぶ油平では「子どもの笑顔が第一の評価」をモットーに掲げています。

療育という観点では、おやつの食べさせ方にも発達によって正しいケアの仕方がそれぞれあります。それらを把握した上で、いかに楽しく美味しく食べてもらうか。何気ないおやつの時間にも、さまざまな思いと工夫が込められています。

庄子さんは、おやつを食べさせてもらっている子ども達を見守りながら、「子ども達には楽しいことが大切。みんな学校で頑張ってきたんだから、リラックスして帰ってもらいたい」と、その思いを話してくれました。その思いはみんなと共有され、子どものことを第一に考えたケアが行われています。人懐っこい笑顔を見せる子ども達を見ていると、ここが子ども達にとって安心することができる場所になっているんだということが伝わってきました。

わいわいくらぶ油平を訪問して

 

わいわいくらぶ油平を訪問して感じたのは、「まじめ」で「誠実」という印象です。厳しい経営環境下にあっても必要な人材をしっかりそろえ、家族からの要望に応えて人手のかかる入浴サービスを継続しています。また、スタッフの方も常に子ども達の事を第一に考え、明るく朗らかに子ども達と接しています。

放課後デイサービスは、障害のある子ども達が小学校入学から高校卒業までの12年間に渡って通う場所です。そこでどのように過ごすかは、子ども達の成長に大きな影響を与えます。わいわいくらぶ油平のような場所がある事は、子ども達や家族が日常生活を送るにあたって非常に大きな支えとなっていると思います。また、地域にとってもかけがえのない財産です。

こうした施設が安定して事業を続けられるようになるためにも、多くの人に地域を支えている福祉施設への関心を持ってもらえたらと思います。まずは、自分たちの住む地域にどんな施設があるのか調べて見てください、今まで気づかなかった様々な施設がある事に気付くはずです。

~ご支援のお願い~

お金をまわそう基金では、NPO法人秋川流域生活支援ネットワークへの寄付を受け付けています。
頂いた寄付は、わいわいくらぶ油平で行う重症心身障害の子どものための放課後等デイサービス事業に充てられます。

皆様からのご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。

・頂いた寄付は全額をNPO法人秋川流域生活支援ネットワークへお届けします。

・お金をまわそう基金からの寄付は税制優遇措置の対象となります。

 

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