病院に広がる笑顔「わくわくこどもデー」

都立小児総合医療センターのキャラクター「どんぐりくん」子どもたちに大人気でした!
2026年5月、東京都立小児総合医療センター(東京都府中市)で「看護の日イベント2026・わくわくこどもデー」が開催されました。
小児総合医療センターは、一般の医療機関では対応が困難な子どもに「こころ」と「からだ」を総合した高度かつ専門的な医療を提供している東京都における小児医療の拠点です。
イベントには、「小児病棟にわくわくを届けたい!」という想いを持ったさまざまな団体が「小児病棟わくわく応援団」※として参加。それぞれの団体が医療現場に寄り添いながら、子どもたちやご家族が安心して楽しい時間を過ごせるよう、専門性を生かした体験や交流の場を提供しています。
今回、一般社団法人星つむぎの村もわくわく応援団の一員としてこのイベントに参加するとお聞きし、活動の様子を見学させていただくために会場に向かいました。
病院の中に現れた“満天の星”

跡部さんの説明の後は、いよいよドームの中へ
星つむぎの村は、病気や障がいなど、さまざまな事情によって星空を見ることが難しい子どもたちと、そのご家族へ「星空を届ける」活動を続けています。
移動式のドームプラネタリウムを病院や福祉施設に設置するほか、病棟や病室の天井に星空を投影するなど、多様な工夫を通じて、「みんなで一緒に星空を見上げる時間」を生み出してきました。
会場となった1階フォレストに足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは、直径4メートルのドーム型プラネタリウム。外来診療の待ち時間や診察後のひとときに合わせて、親子連れが次々と上映時間に集まってきます。
星つむぎの村の共同代表のひとり、跡部浩一さんによる明るく親しみやすい説明が始まりました。いよいよドームの中に入ります。早く入りたくてそわそわしていた子どもたちが、入り口の向こうに広がる空間を目にした瞬間、少しだけ緊張した表情を見せてくれるのが、なんとも可愛らしくて微笑ましいです。

ドームの中いっぱいに星空が広がります
ドームの中は、まさにバリアフリーの世界。医療機器を装着したままでも、バギーや車いすに乗ったままでも大丈夫。座っても、仰向けに寝転んでも、保護者に抱っこされたままでも大丈夫。それぞれが一番楽な姿勢で、天井を見上げます。
やがて、ドームいっぱいに映し出された昼の空が、ゆっくりと夜空へ変わっていきます。スタッフの和やかなナレーションに導かれながら、「10、9、8……」と、子どもも大人も目を閉じてカウントダウンを始めます。
「ゼロ!」
その合図で目を開けると、そこには無数の星々が美しい輝きを放っていました。
「うわあ!」「すごーい!」
子どもたちの歓声が響き渡ります。言葉で気持ちを表現することが難しい子どもたちも、腕や表情を動かしながら、目の前に広がる星空に懸命に反応していました。

迫ってくる火星をみんなで押し返します
春の大三角を探したり、迫ってくる大きな火星をみんなで押し返したり、土星の輪をくぐったり――。子どもたちは星々と遊びながら、太陽系を抜け、天の川銀河を越え、無数の銀河が広がる宇宙へと旅を続けていきます。
最初は賑やかにはしゃいでいた子どもたちも、いつしか静かに星空へ見入るようになっていました。果てしなく広がる宇宙の景色は、自分たちがとても小さな存在であることを教えてくれます。同時に、地球という星で「いのち」を与えられ、生きていることの奇跡にも気づかせてくれるのです。
バギーに乗った子どもとともにドームに入ったお母さんが、安心したように眠りに落ちる場面もありました。病気の子どもを支え続け、気を張る毎日のなかで、星空に身を委ねる25分間は、束の間でも心をほどくことのできるひとときだったのかもしれません。
病棟の子どもたちに星空を

天井と前方のスクリーンに美しい星座が映し出されています
この日は、ドーム型プラネタリウムだけでなく、病棟で過ごす子どもたちにも星空を届けます。病院の外へ出ることが難しい子どもたちにも“同じ星空を一緒に見る体験”を届けたい―。そんな願いが込められた企画に、会場全体があたたかな空気に包まれていました。
病室を離れることができた子どもたちが、嬉しそうに会場に入ってきました。外来で訪れていた親子連れも入場して、会場はどんどん埋まっていきます。
星つむぎの村の共同代表であり、プラネタリウムの「宙先(そらさき)案内人」を務める高橋真理子さんのナレーションが始まりました。
カウントダウンの「ゼロ!」で目を開けると、視界いっぱいに広がる満天の星。星空を見上げる全員が地球を離れ、宇宙の旅へと誘われます。
いつもは内側から見上げている天の川を外側から眺め、静寂に包まれた宇宙空間を漂っていきます。
高橋さんはやさしく穏やかな声で、私たち一人ひとりの存在の尊さを、静かに語りかけてくれます。
―星は、誰の上にも等しく輝いていること
―私たちの身体は、みんな星のかけらでできていること
―いのちの始まりは宇宙の始まりであり、だから私たちは「みんな違って、みんな同じ」であること
―同じ星空を見上げれば、社会の境界線に意味がなくなるように感じること

「さあ、私たちのふるさと、地球へ帰りましょう」高橋さんの声があたたかく響きます
星空に目を輝かせる子どもたち。その表情は、病気や障がいといった日常をひととき忘れ、ただ純粋に星空と向き合う時間へ深く没入しているようでした。星を見上げた瞬間、誰もが同じ“星の住人”なのだということを、子どもたちは自然に感じ取っているようにも見えます。
そして、そんな我が子の表情をそっと見つめる保護者の方たちのまなざしもまた印象的でした。
プラネタリウムはいよいよ終盤へ。広大な宇宙を漂うとてつもない開放感と、同時に感じる圧倒的な孤独。「さあ、私たちのふるさと、地球へ帰りましょう」という高橋さんの言葉が響いた瞬間、胸の奥がじんわりと熱くなったのでした。
わくわくでつないだやさしい時間

看護師さんのユニフォームを着て、お仕事体験ができます
今回の「わくわくこどもデー」では、星つむぎの村のプラネタリウムをはじめ、わくわく応援団によるさまざまな活動が、子どもたちに笑顔を届けていました。
看護師さんたちによる体験コーナーが設けられたり、院長や事務局長が何度も会場へ足を運んだりと、「子どもたちに楽しんでもらいたい」という病院全体の想いが随所にあふれるイベントでした。
たくさんの“わくわく”が詰まった2日間。参加した子どもたちにとって、心に残る特別な時間だったのではないでしょうか。


※「小児病棟わくわく応援団」は、
・認定NPO法人日本クリニクラウン協会
・NPO法人キープ・ママ・スマイリング
・特定非営利活動法人心魂プロジェクト
・NPO法人 しぶたね
・認定NPO法人難病のこども支援全国ネットワーク
・一般社団法人星つむぎの村
の6団体が参画しています
一般社団法人星つむぎの村の「病院がプラネタリウム」では、病気や障がいなどによって、夜空を見たことがない子どもたちやそのご家族のもとへ星空を届けています。
これまで延べ1,200ヶ所で、「病院がプラネタリウム」を実施してきました。「一緒に星を見上げることが、きっと心の支えになる」という思いは、子どもたちの多くの声や表情、表現によって確信となり、活動を継続する上でのエネルギーとなっています。
全国津々浦々、病院の個室、NICU(新生児集中治療室)、在宅中のご自宅などの小さい規模から、支援学校やホールなど、大きな規模にも柔軟に対応できることが強みです。
皆さまのご支援によって、より多くの場所に、より多くの星空を届けることができます。星の光が誰かの心に寄り添うよう、皆さまのお力をお貸しくださいますようお願いいたします。
