世帯収入による教育格差を超えて

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世帯収入による教育格差を超えて

新年度が始まり1か月余り。さあ、次の目標に取り組もう、と考えた時にまず問題になるのは、チャレンジに掛かるお金ではないでしょうか。大人ならば、自分で捻出の方法を考えられるかもしれませんが、保護者の下にいる子どもたちは、与えられたものの中でどうにかするしかありません。

子どもたちの未来へのチャレンジをどう支えるかについて、考えてみたいと思います。

 

世帯の年間収入と「補助学習費」

教育格差とは、家庭の経済状況、家庭環境、居住地域等、子ども本人が変更できない事情により、受けられる教育の機会や質に差が生じ、その結果、子どもの学力や学歴などに生じる格差のことを言います。

教育格差を是正するための代表的な政策の一つが「高校無償化」です。一定の所得基準を満たす世帯に対して、国が高校授業料を支援することで、経済的な理由だけで進路を決める必要が減り、子どもたちが自分に合った学校を選びやすくなりました。

では、「高校無償化」によって教育格差の問題は解消されるのでしょうか。

文部科学省が発表する『子供の学習費調査』のうち「世帯の年間収入と「補助学習費」」は、学校種別ごとに補助学習費の年間平均値を比較しています。補助学習費とは、塾や家庭教師などの学校教育以外での学習に掛かる費用です。

公立中学校における1年間の補助学習費を見てみると、収入が400万円未満の家庭では約15万円となっています。平均的な収入の家庭※の補助学習費は約30万円となっており、収入が400万円未満の家庭の約2.0倍に上っています。また、収入が1200万円以上の家庭では41.4万円となっており、収入が400万円未満の家庭とは2.8倍もの差があります。

公立中学校に通うほとんどの子どもたちは、高校に進学します。そのためには、「入試」を突破しなくてはなりません。子どもたちにとって人生の第一関門とも言うべき高校入試に向けた学習の機会は、収入の多寡によって、質にも量にも大きな差が生じていることがうかがえます。

※ 子どものいる世帯の平均所得は820万円(厚生労働省『国民生活基礎調査』令和5年より)

 

世帯の年間収入と公立中学校の「補助学習費」

文部科学省 令和5年度 子供の学習費調査

 

教育格差を超えて

親ガチャという言葉が流行ったように、子どもは生まれる家庭は選べません。しかし、その後の人生は生まれた家庭によって大きく差が生じてきてしまいます。

経済的に裕福な家庭に育った子どもは、学習の機会に恵まれることで、進路の選択肢に幅を持たせることができます。

その一方で経済的に厳しい家庭の子どもは、学習の機会が限られ、その結果、将来の選択肢が限られてしまいがちです。また、学ぶ機会や情報を自ら集める必要があり、その困難さから、夢や可能性を自ら断ち切ることも考えられます。

この問題に対し、経済的に厳しい家庭の子どもを対象とした無料塾など、学習を支援する取組みが広まっています。家庭の状況に関わらず、学習の機会を提供することで、全ての子どもたちが、自らが希望する未来に向けて歩んでいけるよう、後押ししようという取組みです。

子どもたちの未来は、私たち社会の未来でもあります。家庭の状況により子どもたちを取り巻く環境に差異が生じたとしても、社会全体でサポートすることで、全ての子どもたちが希望をもって歩める社会を目指して、私たち一人ひとりがより良い未来を創れる行動を取りたいものです。