児童養護施設から巣立った子どもに想いを届ける『実家便』

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児童養護施設から巣立った子どもに想いを届ける『実家便』

子ども家庭庁の発表によると、児童養護施設で暮らす子どもは、令和6年3月の時点で約2万2千人います

児童養護施設は、家庭での生活が難しい子どもに対して、安定した生活環境を提供するとともに、生活指導や学習支援、家庭環境の調整などを行いながら養育を行う施設です。

これらの支援を通して、子どもの心身の健全な成長と将来的な自立を促進する役割を担っています。

施設で暮らす子どもたちは、安全な環境のもとで生活や学習に必要な支援を受けています。

入所児童の 71.7%が入所前に保護者からの虐待を経験しているというデータもあり、心身に傷を抱えて入所するケースは少なくありません。

職員は日常的に子どもたちを見守り、相談に応じることで、安心して成長できる環境を整えています。

社会的養護の施設等について|こども家庭庁

子どもたちの「その後」を支える

しかし、ほとんどの子どもは18歳になると進学や就職を選び、施設を離れて自立しなければなりません。頼れる家族がいない子どもたちにとって、社会に一人で踏み出すことは大きな不安と孤立感を伴います。

公益財団法人あいであるの「実家便」事業は、施設を退所した子どもに、言葉とモノを通して「あなたを気にかけている人がいますよ」という安心感を届ける取り組みです。

小さな支援のように見えますが、子どもたちが社会に出た後の心の支えとなり、孤立を防ぐ一助になっています。

2025年12月、「実家便」の発送作業を見学させていただくため、神奈川県の倉庫を訪れました。広い倉庫には、すでに食料品などがぎっしり入った段ボール箱が大量に運び込まれていました。

実家便は、6月と12月の年に2回、5年間にわたり送られます。出身施設の職員からの手紙と賛助会員からの応援メッセージも同梱し、「モノ」と「言葉」の両面で子どもたちを支えています。

事業を開始した2016年以降、実家便を希望する施設や子どもは増え続け、2025年は6月と12月で合計1,562個を送付することができました。

あいであるの理事 吉田さんとスタッフの山内さん、そしてボランティア5名で発送作業を開始します。

作業は2人1組で進められます。手紙一式が入った封筒と発送伝票の送付先を突き合わせ、宛名を声に出して確認しながら梱包していきます。

封筒と伝票が一致していることを確認したら、箱に手紙を入れ、伝票を貼り、ガムテープでしっかりと封をします。

出身施設の職員と賛助会員からの手紙――。子どもたちを応援する「言葉」を、間違いなく届けるための大切な工程です。

名前に込められた願い

あいであるの賛助会員の会社に勤める渡邊さんは、何度も発送作業に参加しているベテランのボランティアです。
積まれた段ボールの周りを歩きながら、慣れた様子で封筒の宛名を読み上げ、無駄のない動きで作業を進めていきます。

その指先からは、子どもたちへの思いが伝わってくるようです。

宛名に書かれた子どもたちの名前は、どれも本当に素敵です。
可愛らしい響きの名前、のびやかで心地よい名前。一文字一文字に、名付けた人の願いと愛情が込められているように感じられます。

「なのに、どうしてでしょうねぇ」

吉田さんは、そう静かに語ります。
どうして親と子が離れて暮らすことになったのか。
どうして、施設に入所する子どもの7割が親からの虐待を経験しているのか――。

吉田さんの言葉は、さまざまな事情を背負った子どもたちの姿を想像させます。
苦しみや悲しみを抱えて施設に入所し、18歳で社会に出て自立を余儀なくされる子どもたち。
その過酷さを改めて考えずにはいられませんでした。

段ボールの中には、レトルト食品やお菓子、お米など、企業や個人から寄付された品物、そしてあいであるのみなさんが心を込めて選んだ食品がたくさん詰まっています。

中でも目を引いたのは、大きなクッキー。
「このクッキーを手に取ったときに、ちょっと笑ってくれたらいいなと思って選びました。実用的なものも大切ですが、遊び心のような余裕も大事にしたいんです」と吉田さんは話します。

お金をまわそう基金を通じた寄付は、お米の購入費に充てられています。
「お米は高いから助かる」「実家便のお米が自炊のきっかけになった」など、子どもたちから特に喜ばれる品だそうです。米価高騰の影響を強く受ける中、「これからもお米を入れてほしい」という声に応え、実家便には必ずお米を入れているといいます。

箱の向こうにいる誰かを想って

さまざまな想いが込められた実家便。
箱を開けた瞬間の子どもたちの表情が、自然と目に浮かびます。

どうか子どもたちが、健康で喜びに満ちた人生を歩めますように。
そんな想いをのせて、発送作業は慎重にそして確実に進められていくのでした。

公益財団法人あいであるの「実家便」事業は、児童養護施設を退所して自活している子どもに『あなたを見守っています』 というメッセージをモノと言葉で届けています。
みなさまの温かいご支援を何卒よろしくお願いいたします。

児童養護施設から巣立つ子どもを支援!お米とメッセージを届ける『実家便』