公益社団法人ア・ドリーム ア・デイ IN TOKYO(以下「ア・ドリーム ア・デイ」という)の事業で難病児とその家族に最大一週間の東京旅行を支援している現場を視察しに行きました。期間は10月8日から10月11日まででそのうちの一日に同行させていただきました。
今回の東京ツアーに参加されたご家族は5組で、ア・ドリーム ア・デイとしても初めて5組同時に招待し、ボランティアに参加された方々も例年より多く募ったということでした。ボランティアの方々はア・ドリーム ア・デイに支援を行っている企業の社員でその中には10年くらい参加しているベテランの方もいました。ボランティアはチームをつくり、ボランティアリーダーを中心にご家族が楽しい思い出をつくれるように円滑に動きます。今回は東京ディズニーランド、東京ディズニーシーを巡る旅行だったため、普段訪れない方は事前に入園しアトラクションも乗らずひたすら歩いて地図を覚えたと話していました。
さて、今回参加された5組のご家族は、直接会ったことはありませんがSNS上では以前から面識があったそうです。SNS上で情報を共有していくうちにKISEKI’Sというグループを立ち上げ、同じ難病についてお互いを励まし合い、「いつかみんなでディズニーに集まろう」という願いを抱き、今回のツアーを実施されました。KISEKI’Sは難病の我が子の動画や日常の生活などを積極的に投稿し、同じ難病を抱えるご家族へまた現状を知ってもらいたいという思いから世の中に情報発信しています。お父さんお母さんは難病の我が子に対して、非常に前向きな気持ちを持って生活されているという印象を持ちました
24時間、目が離せない
「医療機器の充電をするためにまずはコンセントを探さなければならない。こういった旅行や外出では医療機器の充電が大切で命に関わる」と言います。そのため必ず事前にコンセントがあるか、またそれを使用してよいのかを確認する必要があります。
昼食中にお母さんからお話を聞くことができました。
食事はいつも子どものご飯を優先的に作ります。食事はペースト状にしたものや粉末のものを正確に計量しお湯で割ったものを管から通し摂取します。落ち着いたころに自分のご飯を食べていましたが、寝落ちする姿も見受けられました。毎日が寝不足で夜遅くまで起き、その後は2時間おきに子どもの痰を取り除かなければならず、また症状が悪いとつきっきりで看病しなければならない。その日お母さんは朝4時に起きて看病していたということでした。
また今回は子どもたちの症状が似ていることから非常に過ごしやすいとのことでした。「症状が違うとあっちの子どもは目が追えて反応できたり、食事ができたりなど我が子に出来ない部分などは見るとものすごく羨ましい」と正直に話してもらいました。
難病児の兄弟たちへ感謝
アトラクションで並んでいる時にお父さんとも話すことができました。
子どもの症状は生まれつきではなく突発性で起きたとのこと。医者からはもうダメだと言われた時はショックが大きく信じることや受け入れることができなかったそうです。それでも兄弟たちが積極的に洗濯や掃除など家事手伝いをしてくれたり、一番末っ子を抱っこしながら面倒も見てもらったりしてくれています。甘えたい年頃なのに同年代の子どもたちと比べると普段から我慢してくれています。このように家族が協力し合ってきたから、ここまでこれたと思います。子どもたちには感謝しています。
子どもたちと一緒にアトラクションに乗ったり、会話をすると、普段両親に甘えられない部分があり我慢していることが雰囲気から伝わり、他のボランティアさんと話をしたり手をつないだりしている姿から伝わってきます。
ア・ドリーム ア・デイの夢
難病のお子さんを支援している団体は数多くあります。病気を特化した支援が得意な団体もあれば、全国で事業をしている団体もあり、お互いが強みを生かして頑張っていきたいと思います。わたしたちの活動には小児科医をはじめとする医療関係者からの協力が手厚いので、安全な移動のお手伝いや救急時のことを考慮しなくてはならないお子さんたちの支援が得意分野です。また、病気の種類は限定せずにフルオーダーの旅行を準備するので、病児本人だけでなく、普段は我慢も多い兄弟姉妹たちにも思いっきり旅行を楽しんでもらおうと思っています。手続きが複雑な飛行機や車の手配、医療ボランティアの協力を仰ぐことに全力を注ぎます。
現在は東京ツアーだけで多くのご家族を迎え入れるほど大きな組織ではないですが、これから少しずつ組織を大きくし、ご家族同士の交流の場づくりをしたり、もっと多くのご家族を受け入れていきたいと考えています。そのために私たちの活動を少しでも知ってもらうためにも現場ボランティアを募りたいと思います。また、ボランティアに参加した方々がどんどん情報発信してほしいです。と話していました。
まとめ
今回、参加された子どもたちはたくさんの医療器具と共に毎日を懸命に生きています。医学の進歩もあるがここまで生きれるのは奇跡に近くこれから先どうなるかは未知であると主治医が話していたそうです。
しかし、一日でも長く、一つでも多くの思い出をつくるために常日頃からお父さん、お母さんをはじめ兄弟姉妹たちが力を合わせ過ごしているからこそ、東京ツアーが実現できたと思います。このような思い出を一人でも多くのお子さんとそのご家族を東京に招待できるように私にできる最大限のことをお手伝いしていきたいと改めて思いました。