お金をまわそう基金へ寄付していただいている方が、寄付体験をざっくばらんにお話しする「Shall we KIFU?」。
第8回は、佐渡 敏哉さんにオンラインでお話を伺いました。
佐渡さんはお仕事の傍ら、非営利組織を支援する認定NPO法人サービスグラントのプロボノ活動(※)に参加され、お金をまわそう基金のプロジェクトをご担当いただいたことがきっかけで、ご縁が始まりました。※職業上持っている知識やスキルを無償で提供するボランティア活動全般
プロボノを通して感じたこと、寄付について感じることなど、佐渡さんの体験を知って、行動するきっかけにしていただければ幸いです!
ライフ・シフトから始まった挑戦
田川(お金をまわそう基金):お仕事の傍ら、プロボノ活動をしようと思われたきっかけは何だったのでしょうか?
佐渡さん:「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)100年時代の人生戦略(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット著)」と出会ったのがきっかけです。「仕事だけ」ではなく、他にもやれることがないかと思い、パラレルキャリアについて等、色々と本を読みました。
その中で認定NPO法人サービスグラントを知り、説明会に参加してみました。自分ができそうなプロジェクトに参加しようと思い、最初は難民の支援をする団体のウェブサイトリニューアルに、その次にお金をまわそう基金のマーケティング調査に参加しました。
佐渡さん:もともと澤上篤人(当財団の代表理事)さんの本を読んだことがあり、さわかみ投信のことは以前から知っていました。お金をまわそう基金の考え方が、「世の中にお金を回す」という、投資に近い考え方が面白いなと興味を持ったのがきっかけです。
田川:そうだったんですね。実際に仕事以外の場を持つことで、何か変化がありましたか?
佐渡さん:プロボノをすることで気分がリフレッシュできましたし、新しい人と知り合う機会ができてとても良かったです。社会人になると、仕事以外の人と出会う機会は減りますからね。
参加した二つのプロジェクトでは、両方ともプロジェクトマネージャーを担ったのですが、社会課題に対して意識の高い人が多く進めやすかったですし、そういうメンバーと上下関係を気にせずに意見を出し合いプロジェクトを進めていく、という経験はとても有意義でした。
佐渡さんの寄付体験
田川:プロボノを始める前までは、「寄付」や「非営利団体」などの存在は身近だったのでしょうか?
佐渡さん:かなり前に、ユニセフに寄付をしたり、ホームレスを支援するビッグイシューという雑誌を買ったり、東日本大震災の後にスポットで寄付をしたことはありましたが、継続的に寄付をしたことはありませんでした。
田川:プロジェクト後、子ども分野に継続寄付をしていただいていますが、寄付しようと思われたきっかけを教えてください。
佐渡さん:プロボノで関わった団体は継続的に支援しようと思ってはいたのですが、プロジェクトの中でNPO団体の方や寄付者の方に直接お話を伺って、詳細を知ることができたのが良かったですね。
その時、タイガーマスク基金さんにインタビューをさせていただいたのですが、情報発信やニュースの解説等をしっかりされていて、そういう所が分かりやすくていいなと思いました。
田川:確かに、分かりやすいと寄付し甲斐がありますね。日本であまり寄付文化がなかなか根付かないと言われていますが、どんな理由があると思われますか?
佐渡さん:それについては、以前サービスグラントで知り合った人と話し合ったことがあるのですが、宗教上の理由が大きいのではないかと思いました。寄付が文化になっていると言われる欧米は、教会を中心とした奉仕精神が日常生活に根付いていますよね。
日本でも、あしなが育英会や赤い羽根共同募金などは有名ですが、寄付の意義についてきちんと教育の場で学ぶ機会はなかった気がします。あと、漠然と、寄付に偽善的なイメージもありますよね・・・。
そういう諸々な理由で、壁が高いんじゃないかと感じます。レジ横の募金くらい、気軽な仕組みになればいいですね。
田川:本当に、そうですね。
寄付先を選ぶ際のポイントとは?
田川:寄付を迷っているという方に「こういう点を見ると良い」というポイントがあれば、教えていただけますか?
佐渡さん:そうですね、寄付をした実感を持ちやすいとか、コミュニケーションなどがポイントだと思います。先ほどのタイガーマスク基金さんのように情報発信をしっかりしていると分かりやすくて良いですね。
また、寄付した時に記念品がある、なども実感が湧きやすいポイントかもしれません。ある友人が、寄付先団体が作ったものが寄付のお礼で届いたことがきっかけで、「継続して寄付しよう」と思ったと言っていました。
それと、寄付した後のフィードバックがあるといいと思います。自分の出したお金が誰に届いて、どういう風に役立ったか、ということはとても気になります。
団体側からすると、費用や時間の問題もあるので全部実施するのは難しいと思いますが、寄付する側からすると、このような点が大事なポイントだと思いますね。
佐渡さん:最後に、啓発はとても大事だと思います。すぐに成果は出るものではありませんが、長期的な視点で、社会にお金を回すことや寄付することの意義をもっと多くの人に知ってもらう必要があると思います。
お金をまわそう基金も、「社会にお金をまわす」という考え方はとても特徴的で投資をする人への親和性が高いので、投資を始める若い人にもっと知ってもらうといいと思いますし、オリンピック・パラリンピックの開催を機会に、スポーツ分野への支援も盛り上がっていけばいいですね。
田川:そうですね、お金をまわそう基金を通して活動している団体に届けたお金がどうなっているか、お金を回すことにどういう意義があるのかということを、しっかりと伝えていきたいと思います。今日はお時間を頂き、どうもありがとうございました!
**編集後記**
佐渡さんのお話を伺い、今まで覗いたことのない世界を知り、視野を広げて新たな気付きを得ることの意義を改めて感じました。
格差や貧困、気候変動などの社会課題が深刻化する中、私たちは、社会課題と向き合わざるを得ない状態で生きています。大変な時代かもしれませんが、逆に、課題と向き合うことで、やりがいを見つけたり新しい世界が広がったりするかもしれません。
そのように行動を起こす人が少しずつ増えれば、大きな流れとなって社会を変えていくことにつながるのではないかと感じました。
お金をまわそう基金 田川
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