誰もが「諦めない日常」を過ごせる社会を目指して。NPO法人Linoの沖縄旅行

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誰もが「諦めない日常」を過ごせる社会を目指して。NPO法人Linoの沖縄旅行

2020年9月21日から3日間、NPO法人Linoの海洋リハビリ体験ツアーに同行させていただきました。

 

海洋リハビリ体験ツアーは、障害のある子どもがいて親子だけでの旅行は不安な方々が、皆で旅行することで、自分達だけでは大変な面をサポートしてもらいながら普段できない体験をしたり、挑戦することのハードルを下げる目的で2019年から開催。今回は3回目の実施です。

 

今年はコロナ禍の状況でLinoとしてもツアー開催の判断が難しいところでしたが、タイミングよく沖縄の緊急事態宣言が明け、また、参加者も事前事後2週間の健康チェックを行うことで、開催する流れとなりました。

 

私自身、この組織で働きはじめるまでは医療的ケアが必要な子とそのご家族が抱える問題を良く知りませんでした。今回の旅行を通して、いつもの生活では気づくことのなかった視点が沢山あり、Linoの目指す「誰もが生きやすい社会」に近づくにはどうしたらいいのか、深く考えさせられました。

 

 

空港にて

 

参加者は、お子さんと親御さんのペアが3組、ボランティアの看護師さんが3名、お金をまわそう基金より2名、合計11名。当日は8時に羽田空港に集合。出発は9時50分の飛行機ですが、時間に余裕をもって「お手伝いが必要なお客様」窓口にて待ち合わせです。

まず、障害のあるお子さんが日常的に利用している医療機器が、機内持ち込み可能なものかどうか、事前申請の内容と一致するかの確認。航空会社の担当の方が、メーカーや型番等を調べ本部と連絡を取り合う様子が見られました。また、機内に搭載できるか確認する為、車いすの大きさを計測します今回は大きかったため、機内の通路も通ることができる車いすに途中で乗り換えることになりました。荷物を預け、チェックイン、飛行機に乗り込みます。

 

 

チェックイン完了。優先搭乗で最初に乗り込み、着席はフライトアテンダントの方にお手伝いいただき、身体に合せてベルトを固定します。

 

 

無事、沖縄に到着

 

レンタカーで、宿泊先のホテルモントレ沖縄 スパ&リゾートに向かいます。

 

   

NPO法人Linoが海洋リハビリを行う際は、いつもこちらのホテルを利用しているとのこと。ユニバーサル仕様の部屋が用意されており、ホテルからビーチへの距離が近く、何かあったら部屋にすぐ戻ることができるという点がとても便利で、ホテルのスタッフの方も非常に丁寧に対応してくださるとのことでした。

 

下の写真は、ユニバーサルルームのバスルームです。一般的な浴室と異なる点があるのですが、お分かりでしょうか?

答え:バスタブ横に手摺り、バスチェアー、バスタブに腰掛けすることができるスペースがある点です。体の不自由な方が移動しやすかったり、介助する方が身体を支えやすいように工夫された仕様になっています。

 

アンケート(※)によると、医療的ケア児のご家族は、主に母親がケアを担当するという家庭が9割を占めます。そのため、母親は仕事を諦めざるをえなかったり、慢性的な睡眠不足だったり、ご自身が体調不良のときに医療機関を受診できないといった問題を抱えています。また、医療的ケア児を連れての外出が困難を極める、社会から孤立していると感じるといった回答が、半数を超えるとの結果も出ています。

※三菱UFJリサーチ&コンサルティング「医療的ケア児者とその家族の生活実態調査報告書(2020年3月)」

 

確かに、Linoのイベントに参加されるご家族も母親が同伴していることが多い印象でした。

ボランティアの看護師さんからお話を伺うと、父親は仕事だったり、他のきょうだい児のフォローだったり、一緒に行動することができない場合も多い、また、ひとり親で医療的ケア児を抱えるご家庭も珍しくはないとのことでした。「24時間油断できない子供の医療的ケアを行うお母さんたちにとって、こういう場所に来るだけでも気持ちがリフレッシュすると思います」と仰っていました。

沖縄の海に沈む夕日。日常から離れて、気分転換になりますね。

 

初日の夜、二日目に行われる海洋リハビリ体験の事前ミーティングを行いました。

 

Linoの海洋リハビリのプログラムは、障害者とそのご家族に海の体験を提供する「チャレンジドオーシャン」の中村由以さんがご担当されています。中村さんは以前東京に住んでいたのですが、沖縄の海に魅了され、14年前に沖縄に移住されたそうです。

プログラムには、ビーチヨガ体験、SUP、シュノーケリング、ゴムボートなど様々なアクティビティがあり、お子さんも親御さんも体験することができます。どのご家族が何のアクティビティを行うかなどを事前に話し合いました。翌日は風が強い予報があり、お子さんたちの身体が冷えないためにタオルなどを沢山持っていく、ホテルのビーチが強風で使えない場合の動きなどの細かい情報共有を行い、打ち合わせを終了しました。

 

いよいよ海洋リハビリテーション体験へ!

 

翌朝、予報通りの風の強さで、残念ですがホテルのビーチではなく、車で移動して風の影響が少ない海岸へ移動しました。目的のビーチには10時頃に到着し、昨日打ち合わせをした中村さんのほか、5名のスタッフさんやボランティアさんと顔合わせを行いました。

 

スタッフの皆さんは、琉球リハビリテーション学院の海洋リハビリテーション学科で学んだ専門のインストラクターです。作業療法士や言語聴覚士、理学療法士などの医療従事者もスタッフに揃えており、参加者の皆さんが安全に海を楽しめるよう、指導やサポートをしています。

 

ビーチに出る前は、いつもと異なる環境で少し緊張気味だったお子さんたちも、海に入っているうちにどんどんリラックスしていきました。動きやすい水の中でバシャバシャと足をばたつかせたり、疲れたら浮き輪の中でうたた寝をしたり・・・と、とても楽しんでいる様子でした。

泳ぐって気持ちいい!

 

☆海洋リハビリテーションとは☆

琉球リハビリテーション学院 海洋リハビリテーション学科では、「沖縄の素晴らしい海を一人でも多くの方々に体験し楽しんでもらいたい」という学科の基本理念のもと、マリンスポーツのプロの養成とリハビリについて学ぶカリキュラムを提供、「リゾートリハビリテーション」の分野で活躍できる人材を育成しています。ここでは、マリンインストラクターとしてハンディを持たれた方をサポートできるスキルも養成しており、障害をもつ方たちへ提供するバリアフリーマリンプログラムの実習も行っています。

 

「海洋リハビリテーションの取り組みは始まったばかりで、今はまだ手探りの部分もあります。ですが、障害のある子がマリンプログラムを通じて心からの笑顔を見せてくれた時、本当にやって良かったと思うし、この大自然の中でこそ子どもがリラックスして心を開くことができるんじゃないかと思います。」と、マリンアドバイザーの方は仰っていました。

このリハビリテーションを実施できるのは現在沖縄のみですが、将来的には拠点を増やすことも視野に入れていらっしゃるとのことです。

ご家族も一緒にアクティビティを体験。

 

お昼過ぎにプログラムを終了。お子さんたちは日に焼けながらも、海を堪能し満足な様子でした!

 

懇親会にて

 

夜は、ホテル近くの沖縄料理屋で懇親会を行いました。こちらも、検温や手の消毒等、コロナ対策をしっかりとられていました。

 

お二人の親御さんにお話を伺いましたが、共通していたのは、「子供に色々な体験をしてほしい」という思いです。今回参加されたお子さんは、16~17歳の、高校生の年齢でした。生まれてからずっと入院生活を送り、退院してからの期間の方がまだ短いお子さん、寝たきりのお子さんにとっては、一般的な高校生がするような、当たり前の経験ができないのが現状です。

 

皆さんが高校生の頃は、どんな思い出がおありでしょうか?

 

多くの方には、部活で汗を流したり、勉強したり、学校の裏の野山で遊んだり、同級生と映画や遊園地に行ったり・・・思い出せないくらいの記憶があるのではないでしょうか。自分自身も振り返ると、後の人生に活かされていると感じる経験もいくつか思い出されます。

 

看護師さんにもお話を伺いました。

看護の現場で医療的ケア児の状況は知っていても、退院した後はどのようにケアされているのかは知らなかった。Linoでお手伝いすることで、とても勉強になっているとのこと。また、今回の旅行に参加した看護師の皆さんは、食事中も、東京で定期的に開催しているインクルシネマをどうやったらスムーズに運営できるか、今後の沖縄旅行をどのように改善していくかなどについて話し合っていて、Linoの活動に対する皆さんの熱い思いをヒシヒシと感じた夜でした。

沖縄料理と琉球音楽で過ごした二日目の夜。

 

旅行を終えて

 

3日間はあっという間に過ぎ、無事に沖縄旅行が終わりました。

 

医療の発達により、2019年における日本の乳児死亡率1.9(※)と、世界的に見ても低い数字になっています。一方で、日常的に医療的ケアを必要とする子どもは現在約1.8万人と10年間でおよそ2倍に増え、今後も増加していく傾向だと言われています。

出生千対(出生数1000人に対する出生後1年未満死亡の乳児死亡数の割合)。厚生労働省「令和元年(2019)人口動態統計(確定数)の概況」より

 

そして、当事者やそのご家族の多くが社会生活において「生きづらさ」や「社会からの孤立」を感じています。

このように社会の受け入れ体制が追いついていない点は、なんてもどかしい状況なのだろうと思いました。

 

多くの方は、日常生活で医療的ケア児やそのご家族に出会う機会はほとんどないかもしれません。ですが、決して少なくない数の子どもたちとそのご家族が、健常者にとって「当たり前のこと」ができない生活を送っています。

 

大多数の人をベースに社会の仕組みが作られ、多くの人にとっては豊かにはなりました。しかし、全ての人がそれを享受できるというわけではありません。やむを得ず一部の人の我慢が必要になった場合、その我慢が負担の大きい人に偏ってしまうのではなく、大多数がちょっとサポートしたりゆずったりすることが、当たり前の社会になったら。

 

障害の有無に関係なく、未来に希望を持ち前に進む勇気を持てる社会を、Linoと一緒に作っていきませんか?「様々な体験を諦める事が当たり前」という彼らの日常を少しずつ変えていくために、ぜひご協力いただけると幸いです!

最終日の朝、ホテル前にて。沖縄の海で、楽しい夏の経験ができました!

 

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