皆さまに支えられて、お金をまわそう基金は第10期を迎えることができました。ご支援を寄せてくださった皆さま、ともに歩んでくださった助成先団体の皆さまに、心から感謝申し上げます。
共感いただいた方々から寄付を集めて、共感する助成先団体にお届けするという「お金をまわそう基金」のアイデアの原型は、自分の10代後半の体験にあります。
事業家だった父親を失い、裕福だった生活が一気に困窮し、周りの環境も一変しました。しかし、困窮の中で知ったのは人々の優しさでした。皆それぞれ貧しいし懸命に生きているのに、なにかにつけて、「お互いさま」といって分け合っていた人々の姿が、自分の心に強く焼き付いています。
お金も気持ちもまわしつつ、お互いさま、おかげさまで、こころ優しく生きている人々が一杯いる社会、いいですよね。そんな社会を創っていき、子どもたちに残していくのは大人の責任です。
ひるがえって、いまの日本はどうでしょう。将来が不安だ、老後のためにとかで、お金を貯めるばかりの人たちが多いと思いませんか。それが、個人の預貯金残高1,000兆円となっていて、世界でもダントツに最大の眠れる資産です。
ならば、眠れる預貯金の一部でも世の中にまわっていくようにしましょうよ。どれほど多くの人々のありがとうにつながっていくことか、想像を絶するものがあります。
一方、この日本には信じられないほど多くの不合理や不条理があって、それをすこしでも解消しようと熱い思いで向き合っている人々も一杯います。そういった活動に、多くの人々の優しい思いが届けられたら、どれだけ素晴らしいことか。そんな優しい思いのパイプをどんどん太くしていこうじゃないか、ということで、10年前に「お金をまわそう基金」を設立したわけです。
ありがたいことに、お金をまわそう基金の基盤はしっかりと整ってきました。次の10年は、お金をまわそう基金の活動を広げていくのが社会的な使命と考えています。より良い社会を目指す様々な活動を支え、こころ優しい社会を次の世代につなげていくべく、職員みなで一層努めてまいります。
皆さまにおかれましては、次の10年も私たちとともに優しい社会を創る活動に参加していただけましたら幸いです。
公益財団法人お金をまわそう基金
代表理事 澤上 篤人