国産漆を増やすため、飯舘村、秦野市での漆の産地化を目指して!

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国産漆を増やすため、飯舘村、秦野市での漆の産地化を目指して!
支援総額
12,350
2%
目標金額
616,405
支援者数
5
募集のこり
361

代表者からのごあいさつ

お陰さまでウルシネクストは、お金をまわそう基金の助成先団体に選んでいただいてから6期目を迎えることができました。

皆さまから多くのご支援や応援をいただいていることが、大きな励みになっています。本当にありがとうございます。

先人たちから受け継いだ漆の文化を次の世代に伝えていく、そして漆をもっと社会のために役立てたい、それが私たちの想いであり、活動の原点です

漆は、安全で安心、しっかり育てることで何度でも再生が可能な天然素材です。自然環境を汚したり、採取から製品作りの工程で大量のエネルギーを使うこともありません。

しかし漆の自給率は未だに10%未満です。その漆が日本から無くならないよう、まず私たちは漆を増やすため、活動に賛同していただいた地域・団体にウルシ苗を提供し、協働で植樹に取り組んでいます。

今回の事業の対象となる福島県飯舘村と神奈川県秦野市は、それぞれの想いでウルシを育て、産地化を目指して取り組まれている地域で、ウルシネクストは立ち上げ時から活動を共にしています。

漆は、木を育てて採取するまでには、相当の手間と長い時間がかかります。一朝一夕に増やすことは叶いません。活動を持続していくためには多くの方のご賛同とご支援が必要です。

皆さまの引き続きのご支援、何卒よろしくお願い致します!

特定非営利活動法人ウルシネクスト
理事長  柴田幸治

ウルシネクストが取り組む社会課題

国産漆が足りません!

国産漆の生産量は1980年には6.6トンありましたが、2014年には1トン程度まで落ち込みました。プラスチック製品の普及によるライフスタイルの変化や、それに伴う漆器の需要の低下が要因の一つと言われています。

2015年に文化庁より国宝や重要文化財を修復する場合、原則として国産漆を使用するよう各都道府県に通知があってから、主要産地の努力もあり2020年には2トンを超え復調の兆しがありましたが、2023年には再び1.6トンに減少しています。

《国産漆の生産量と自給率の推移》 出典:農林水産省WEBマガジン『aff(アフ)2022年11月号』

漆の自給率自体は増えていますが、それだけ外国、特に中国からの輸入量が減っているこということになります。絶対量が足りていません。文化財の保存修復だけでも国産漆が年平均約2.2トン必要と予測されていますから、それすらも賄えない量です。

他の日本の伝統産業も継承について同様の問題を抱えていますが、このままでは漆や漆文化そのものが途絶えてしまいます。国産漆の生産量を増やしていくためには、各地で植栽事業を広め、産地を増やしていく、この取り組みが今必要なのです。

ウルシネクストが取り組むこと

秦野市での下草刈りと施肥作業の様子

何故、国産漆の生産量が増えないのでしょうか?

国内需要の減少など漆業界を取り巻く社会的要因は様々ありますが、原木資源が足りないことが直接的な要因の一つで、さらに根本的な問題としては、ウルシを育てる生育管理の従事者の不足が挙げられます

空いている畑や中山間地域などに適地があれば、植樹自体は有志やボランティアを募ってできます。しかしその後、成木に育てるまでの約15年、生育管理に従事できる人を確保できるかが難しいのです。仕事として成り立たないからです。その昔は、春の萌芽以降、農家に農作業の合間に生育管理を依頼する方法で何とか成り立っていたと聞いていますが、今と昔では農業環境や就農者数がまったく違います。

 

今回の助成事業では、原発事故の影響により耕作放棄地となった畑で、農作物に代わる新たな産業育成のために漆の試験栽培を行っている福島県飯舘村と、かつて歴史ある漆の産地で相模漆の復活に取り組む秦野市のウルシ畑で、生育管理を行う事業にフォーカスしています

飯舘村でのつる植物除去作業の様子

定期的な下草刈りはもちろん、鹿による食害対策や防虫対策、施肥など、生育環境を整備するための作業は増える一方なのですが、私たちや地元の有志だけでは、都度タイムリーに作業を行うには限界があります。

そこで、地元で畑を営む方や機材、資材の扱いに慣れている方などに作業の一部を委託することで、特に6月から11月にかけての成長の大事な時期に、生育管理をしっかりと行っていきたいと考えています。

飯舘村、秦野市での活動と実績

飯舘村のウルシ畑

飯舘村では、2019年から植樹を始め、約600本のウルシ苗を植えました。

育ったウルシ苗は生育環境を整えるために間引き作業を行いながら約半分に減らし、会津若松市や秦野市の新たな植栽地に移植しました。

現在手掛けている畑の中では、最も成長の良いウルシ畑に育ってきています。

 

 

秦野市のウルシ畑

秦野市では、2022年3月に30本を試験的に植え、その後合計で約250本のウルシ苗を植えました。

しかし秦野市の畑は鹿の被害が深刻で、3~4割が食害、樹皮剥離、倒木など何らかの被害に遭っています。また、鹿が山から連れてくる“ヤマビル”も、草刈り作業を妨げる大きな問題となっています。

2024年11月に、奥久慈漆生産組合から70本の優良ウルシ苗を調達し植樹するタイミングに合わせて、フェンスや電気柵の設置、既存ネットの強化などの対策を行いました。

地元の思い

【丹沢漆の里ムーブメント & 金継ぎ教室 淘 主宰、 丹沢MON合同会社:平野 君子】

神奈川県西部、丹沢山麓にある森林観光都市秦野。かつて相模漆の産地として、小田原や日本橋へ、漆を流通させていた歴史があります

私が主催する金継ぎ教室 淘では、10周年を記念して「使うウルシから、作るウルシへ」というスローガンを掲げ、漆を植える活動をしたいと考えておりました。一方で、2021年3月より秦野市のヤビツ峠レストハウスの運営を任される事となり、峠を訪れるサイクリストのお客様との出会いをきっかけにウルシネクストの皆様から苗をご提供いただく事となりました。

仏ヴェルサイユ宮殿の修復に携わる職人が金継ぎの展覧会を訪れ、繕った部位を見て「これは焼かないのか?」としきりに尋ねました。漆は生産から製品化へ至るまで火を使う必要がありません。とてもSDGsなマテリアルと云えます。そしてその美しさは、麗しい日本文化を背負う魅力が溢れています。

しかし、非常に強いかぶれ成分を有します。だからこそ、昔から山里の人々が管理し栽培をしてきました。同時にそれは衛生を保持する殺菌力でもあります。地球環境が激変する中、植物の力を上手に暮らしに取り入れ、再び丹沢を「漆の里」にしていきたいと考えています

【福島県飯舘村議会議員:佐藤 健太】

2011年の福島第一原発事故の影響で食物が作れなくなった飯舘村の畑は耕作放棄地となりました。それまでの農産物に代わるものを探していたときに巡り合ったのが漆です。

飯舘村の冷涼な気候は、日本一の漆の産地・岩手県二戸市浄法寺と似ていることや、福島には会津塗の文化があり、漆に関しての技術的な連携も図りやすいことなども取り組むきっかけとなりました。

同時に注目したいのは、漆が天然樹脂であることです。合成樹脂であるプラチック廃棄物が世界の海洋を汚染していることも知りました。漆は、素材として合成樹脂であるプラスチックに代えて様々な分野で新しい製品が開発できる可能性があります。国連が主導するSDGs(持続可能な開発目標)に合致した、新たな産業に育てられるのではないかと考えています。

まずは試験栽培によって飯舘の地でしっかりと育つのか、放射性物質が漆に及ぼす影響がないかを確かめつつ、私たちはウルシネクストや関係者の皆様と手を携え、国産の漆液採取とSDGsに沿った6次産業化、そして何より飯舘の漆が日本の国宝・重要文化財の保存修理の役に立てることを目指して、飯舘の畑で漆を育てる試みを始めています

ご寄付のつかいみち

皆様からのご寄付は、草刈り、防虫剤噴霧等の生育管理のための業務委託費や、防虫対策のための消耗品費、補植用のウルシ苗購入費などに充てさせていただきます。

5,000円のご寄付で、ウルシの扱いに詳しい人に半日の生育管理作業をお願いすることができます。

ご支援のお願い

ウルシネクストは、お陰さまで設立直後からお金をまわそう基金の助成先団体に選んでいただき、今年で6期目を迎えることができました。

これまで多くの皆さまから温かいご支援をいただきましたことに、改めて感謝申し上げます。

 

漆を育てるための労力と経費の7割は生育管理だと言われています。飯舘村と秦野市を新たなウルシの産地に育てていくために、この生育管理への人的投資は避けて通れません。

是非皆さまに、国産漆を増やすことへの難しさをご理解いただき、引き続きお力添えをいただければ幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。

賛同者の声 

【会津UV漆グループ 事務局 : 鈴木 一彦】

会津は昔から漆に関わる産業が盛んな地域です。漆が産業として根付いたのは、安土桃山時代(1590年頃)と云われております。

私ども会津UV漆グループ(AUJ)では、漆が持つ潤いや深み、温かみ、高級感を広めるためにも、伝統を守りながら新しい会津塗を広げたいという思いで、会津塗のAUJ独自技術に新たなアイデアや資源を活用して地場産業活性化を目指しております。

※AUJ=3社で結成(ユーアイヅ/三義漆器店/アルテマイスター)

当グループ内のアルテマイスター(株式会社保志)では、1973年(昭和48年)に国産漆の資源不足に対処するために漆植林を行った経過があり、その後その漆を活用するプロジェクトとして2015年(平成27年)から漆採取・植林活動を行っております。

現在では当グループも国産漆を育てる地産プロジェクトとして、ウルシネクスト様とも協働し、漆植林活動に取り組んでおります。

【宮城大学 事業構想学群 価値創造デザイン学類 教授 漆造形家:土岐謙次】

古代ローマ時代にコロッセウムが作られたのち、実は千年以上の断絶を経て、今から約150年前に再発明され、いまや世界中で社会基盤になっているコンクリート技術。

日本では奈良時代に仏像制作で使われた漆と麻布で造形を作る乾漆技術は、同様に1,300年の断絶を経て現代で再評価され、未来の社会基盤を支えるような素材技術になってもおかしくないくらいの性能を持っています。

私たちは乾漆の構造材としての力学的物性を検証し、乾漆を航空宇宙や自動車産業で使われている最先端素材の繊維補強樹脂の一種と捉え、「構造乾漆」と名付け、その構造的・デザイン的可能性を研究しています。

100%植物資源で合成樹脂を代替できる未来を目指す点で、宮城大学土岐研究室ではウルシネクストの活動に大いに賛同し、漆を増やす植樹活動を支援しています。

【FEEL J 株式会社 代表取締役社長 ウルシスト®:加藤千晶】

2020年、各地でウルシの植栽が始まる春に、新型コロナウィルスの世界的パンデミックが発生しました。ある感染症研究者が、最近の感染症の頻発や拡散は「人と自然との距離感」の変化や「社会の巨大都市化とグローバル化」に起因する、と語っていたのが印象に残っています。

こうした地球全体が直面する問題の多くは、いま日本の漆が抱えている課題と共通しています。私たち日本人は1万年以上もの間、漆という自然の恵みを日々の営みに活かし、そのやさしさや美しい強さに喜びを見出してきました。

今後、人類は様々なウィルスとある程度共存の道を探り、社会の仕組みや価値観も変化していくのだと思いますが、その方向性を決めるのは、私たち個々人の小さな選択と決断の蓄積です。

漆を通じてSDGsに取り組むウルシネクストの活動が、自然と共生する心豊かな未来へ向けての私たちの選択に後押しをしてくれると期待しています。

【株式会社和える 代表取締役:矢島 里佳】

私たち「和える」は、「日本の伝統を次世代につなぐ」ために誕生しました。日本の伝統産業の職人さんとともに、赤ちゃん・子どもの頃から使える伝統産業品をオリジナルで作り販売をしています。

そんな中、日本の伝統産業の原材料の多くは海外に頼っている、中でも漆は9割以上が海外の方にお世話になっている状況である、ということが気がかりでした。

漆などの原材料も、日本国内で調達できる取り組み、aeru satoyama事業を立ち上げたいと思っていたところ、理事長の柴田さんとの出逢いがありました。

発芽率が低く育てるのが難しい漆の木の育成に、果敢に挑戦され、国産の漆を増やそうとされているウルシネクストさんの取組みに賛同いたします。次世代のために、ぜひ協業させていただければ嬉しいです。

団体の概要

団体名 特定非営利活動法人ウルシネクスト
所在地 秋田県秋田市
お問い合わせ 電話:070-9030-2824

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当プロジェクトの事業計画

事業名
国産漆を植え、増やすことによる漆文化の保護・継承と地域振興を目的とした漆の森づくり
事業実施団体 特定非営利活動法人ウルシネクスト
事業内容 危機的に不足している国産漆を増やし後世に繋げていくために、これまで植栽を行ってきた地域、ならびに今後の候補地と連携して植樹・育成し、漆の森づくりを行っていく事業。将来的に産地を増やすことで漆文化の保護・継承や地域振興に貢献する。特に次期は、これまで植樹をしてきた福島県飯舘村、神奈川県秦野市のウルシを“育てる(生育管理)”ことに重点を置き、事業を推進する。
事業実施期間 2024年12月1日~2025年11月30日
総事業費 677,435円
当サイトでの
募集額
【募集額】

616,405円

【内 訳】

旅費交通費:93,545円

消耗品費:85,360円

通信運搬費:14,000円

業務委託費:396,000円

その他(ウルシの苗木購入費):27,500円

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