「むすぶ」 ~ 人と人をむすび、子どもたちの未来を考える ~

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「むすぶ」 ~ 人と人をむすび、子どもたちの未来を考える ~

2018年3月29日、公益財団法人お金をまわそう基金が主催のセミナー第一弾となる「むすぶ」セミナーを開催いたしました。「世の中のためになる活動を世の中に広める」のもお金をまわそう基金の大切な活動のひとつです。今回は、助成認定団体の一般社団法人Colabo(コラボ)の仁藤夢乃さんと、その支援者 福島利香さんを迎えて支援の現場の様子をお話しいただきました。

 

 

参加者の皆様にお配りする資料にもひと工夫。
「祝結び」がプリントされた資料を筒状に丸めて、会場に立てて置きました。がらんとした会議室を少しでも明るく、変化のあるセミナーにしたいと思い基金スタッフでひとつひとつ資料を作成しました。

 

イベント告知から募集期間が若干短かったにも関わらず、多くの参加者にご来場いただきました。Colaboの支援者の方、お金をまわそう基金を通じて寄付をした方、子ども支援分野にかかわる方など予想よりも多くの方にお会いすることができました。(意外にも)男性の参加者が多かったのも驚きでした。

 

『お金を抱え込んじゃいけない。寄付にまわそう』

まずは、お金をまわそう基金 代表理事 澤上篤人から寄付と経済のお話。
いきなりの経済やお金の話からはじまりました。ですが、この後の仁藤さんの活動のお話や、若者と「一緒に食べることで関係性をつくる」ことにも経済やお金の話はつながっていきます。

「たった1%が寄付にまわるだけで」日本は大きく変わる。
1%は、預貯金だったり、人口の1%だったり、自分の意識の1%だったり。お話を聴くと「もしかすると、世の中を変えることって思ってるだけではなく、すぐに動けば意外と簡単にかわってくるのかも?」と思えてくるから不思議です。

 

『私自身も繁華街をさまよう迷える若者だった』

続いて、一般社団法人Colaboの仁藤夢乃さんから活動内容のお話と人と人をつなぐファーストコンタクトの「一緒に食べよう」からはじまる支援の現場についてをお話しいただきました。

自分自身が街をさまよう若者だったと実体験から語る仁藤さん。
自動販売機の下に落ちている小銭を探したり、ダンボールを敷いて街中で寝ていたという経験や、そんな若者たちを利用しようと声をかけてくる「夜の仕事をする人たち(搾取する人たち)」のお話。テレビやメディアで社会問題にもなっている「JKビジネス」の現状についてもストレートな表現で話していただきました。

 

仁藤さんは、児童買春や違法の性産業に取り込まれる少女、知らない間にオレオレ詐欺に加担させられる高額バイトなど「ほんとなの?」と思ってしまうような悲惨な現状を包み隠すことなく話すため、はじめて聞く参加者のみなさんは驚きを隠せない様子でした。

 

「一緒に食べる大切さ」から「仲間と居る楽しさ」へ

「今度ご飯食べにおいで~」からつくる、悩める少女たちとの関係づくり。
ほとんどの少女の食事はファーストフードやお菓子ばかりという少女たちもいて、親の手料理を食べた記憶がない、また料理も作ったことがなく、生肉をパックから取り出してそのまま冷凍庫に入れて保存してあったこともあると話す仁藤さん。寄付や食べ物の支援が徐々に増えたことで、一緒に晩御飯を食べるだけではなく、一緒に料理をつくることも増えていき「一緒に食べる楽しさ」から「一緒に生きる楽しさ、仲間と居るうれしさ」へと変化したように思えました。多くの方からの寄付や支援が少女たちに届いたという「寄付がもたらした、良い社会への一歩」を仁藤さんの語るシェルター・シェアハウスでの食事の様子を伺うことで実感できた気がしました。

 

食卓で「心を開く」

最後はColaboのシェアハウスで月に一度料理教室を開く現場の支援者 福島利香さんのお話。セミナーの前日にちょうどシェアハウスで暮らす少女たちとお花見をしたばかりだったそうです。最近では料理教室というよりは「利香さんのおいしい食事会」になっているそうですが、「一緒に食卓を囲むこと」の大切さと、少女たちの小さな変化についてもお話しいただきました。

『ひじきを食べたことがない女の子も・・』
少女の生まれ育ってきた環境は様々。
人と一緒に食べるということや食べることに対する意識や常識も全然違っているとのこと。なかには、料理教室で初めて出された「ひじき」を見る少女もいて「気持ち悪い」「なにこの黒いの?」という少女もいたそうです。

少女たちとの関係を食事を共にすることで警戒心を解いて、少女たちに安心・信頼してもらい「甘えてもいい大人」となります。月に一度の料理教室が、「今日はなにが食べたい?」と聞いて少女たちの食べたいものをみんなで食べる「利香さんのおいしい食事会」は、少女たちと大人、さらには少女たち同士を「むすぶ」食事会になっているのだと感じました。

 

質疑応答では参加者の方に記入いただいた「聞いてみたいこと」の回答を登壇者の3人に回答いただきました。「どのように活動をひろげてきたのか」という質問に仁藤さんは

「いまできることを、なにも考えずにどんどん進めてきた感じ。わからないことやできそうにないことは、隣にいる福島さんや地域住民の方等、いろんな人に助けてもらって今の活動につながってきた感じです」と。

お金をまわそう基金に助成申請したときには、代表の仁藤さんと副代表のふたりで活動をしている状態でした。たったふたりで活動していたColaboの活動は、多くの人に問題を投げかけ、共感してもらっています。法人の運営面や会計面などは賛同者や支援者によって助けられている部分もあり、「想いと行動が人を動かし、人を助けて社会を良くしている」気がしました。

「寄付が集まりません。どうすればいいのでしょうか?」という質問に、お金をまわそう基金代表理事 澤上から「今はまだ苦しい。どこも寄付が足りなくて困っているけど5年後には全然違う世界が広がっているはず」「経済のお話と寄付文化の定着で世の中の社会を良くしようという動きは変わっている。寄付が集まらなくてあえぎ困っている顔をしていてはダメ、楽しく笑顔で活動・寄付を続けないといけないよ。」と。

 

ご来場ありがとうございました

セミナー終了後、アンケートにご協力いただき、多くの方からご意見・ご感想、メッセージをいただきました。参加者のみなさまに、寄付や助成団体の活動について知ってもらい、考えていただくキッカケづくりが今回のセミナーの目的でもありました。

アンケートのなかには「お金をまわそう基金をベースに多用な団体のアピールの場、団体紹介の機会を創出してください」「ぜひ、このようなセミナーや機会をたくさん開催してください」とのご感想もいただき大変うれしく思います。これからも世の中に良い活動を続ける団体を多くの方に知ってもらい、考えていただけるセミナーや勉強会を企画していこうと思います。