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代表挨拶
児童養護施設で養育されている子どもは、 施設の中にあっては安全で安心した生活をしています。美味しい食事、新しい洋服、新しいランドセル、修学旅行、必要があれば学習塾、夏休みのキャンプや ボランティアによる習い事や学習支援なども。
一方で、18歳になると 進学や就職など次の進路を選択し施設の退所を迎えます。
施設を退所した子どもは 施設から離れる自由と、頼る家族や頼れる大人がいない社会に放り出されたという不安や社会からの孤立を強烈に感じるといいます。
児童養護施設を退所して自活している子どもに『あなたを見守っています』 というメッセージをモノと言葉で届けるのが「実家便」です。
自分を気にしてくれている誰かが自分のために何かを送ってくれる、それを受け取った時のちょっとくすぐったいような嬉しさ、生活が厳しい中で受け取る食料品のありがたさを、児童養護施設を退所したこどもに味わって欲しいと思っています。 それが彼らへの施設退所後の見守り支援の一助となるからです。誰かが自分を気にしてくれているという安心感を児童養護施設を退所したこどもが味わえるよう、多くの方々にこの支援を紹介しご協力を頂戴したいと思います。
公益財団法人あいである
代表理事 木皿 昌司
事業の概要
児童養護施設を退所し、自活を始めた子どもに、食品や生活用品、防災用品を詰めたギフトBOX「実家便」を届けます。
届ける時期は、6月と12月の年に2回、退所した年から5年にわたり計10回送ります。
「実家便」には施設職員や当財団の賛助会員からの応援メッセージを同梱し、「モノ」と「言葉」の両方で子どもたちを支えます。
児童養護施設退所後の子どもたちに必要なこと
児童養護施設で養育されている子どもは、18歳に達したという理由で施設を退所することになります。
しかし、年齢だけでは社会生活を営む上での コミュニケーションの仕方や生活設計能力などが十分に身についたとは言えません。これらは社会生活をしながら学ぶ必要があり時間を要します。施設を退所した子どもは、自身の出自や成育環境に対するコンプレックスから社会になじみにくく孤立しやすい傾向があり、トラブルに巻き込まれても相談する相手もなく、生活が立ち行かなくなってしまうケースが少なくありません。自立支援コーディネーターなどの配置が検討されているものの、支援やアフターケアサポートは十分に行われていないのが現状です。
施設を退所した子どもが本当の意味で自活するには、困ったときに相談できる信頼関係のある人が必要であり、施設退所後も子どもにとって唯一の拠り所となる施設との繋がりを保つことがその 役割を果たすと考えます。
私たちは、児童養護施設を退所し自活を始める子どもが直面する「孤立感・孤独感」「金銭管理」という悩みを解決するため、2つの事業を行っています。一つは、お金の管理を体験する「マネークリップレクチャー」、もう一つは、子どもが唯一の拠り所となる児童養護施設とのつながりを作るかけはしとなる「実家便」です。
「実家便」とは?
児童養護施設を退所し自活を始めた子どもに、6月と12月の年に2回、退所した年から5年にわたり計10回、食品や生活用品、防災用品を詰めたギフトBOX「実家便」を送る取り組みです。対象の子どもを養育していた児童養護施設で希望者を募り、児童養護施設からの申請を受け、あいであるから希望者に実家便を発送します。
児童養護施設は、施設退所者への継続的な支援の必要性を強く認識しており、児童福祉法によっても退所者への継続支援(アフターケア)が義務付けられています。しかし、支援状況は自治体や施設によってばらつきがあり、十分なアフターケアを行えていないのが現状です。そのような中、本事業は、施設に対し退所者へのアフターケアを手助けする取り組みとして2015年から実施しています。
「実家便」でできること
施設にとっては、実家便発送先住所の確認のため、定期的に退所者に連絡する機会をもつことで、退所者の居場所や生活状況を確認することができ、生活状況を把握することにより、施設自らが行うアフターケアに繋げることができます。
施設退所者にとっては、生活に必要な食糧・防災用品を手に入れるための経済的負担が軽減されるだけでなく、施設を退所した後も施設との繋がりを保つことで、困ったとき、助けが必要になったときに、相談できる人、見守ってくれる人がいる安心感を得ることができます。
「実家便」には施設職員からの手紙と賛助会費からの応援メッセージを同封していますので、施設退所者に「社会全体で見守ってくれている」と感じてもらえるところも「実家便」の魅力です。
「実家便」のこれまでの実績
2015年に始めた実家便は、2022年までの8年間で約3,600名(延べ人数)に届けられました。近年は、実家便を希望する施設退所者が増えてきています。
年 | 支援対象者数 | 児童養護施設数 |
2015 | 100 | 31 |
2016 | 235 | 62 |
2017 | 374 | 85 |
2018 | 456 | 96 |
2019 | 551 | 113 |
2020 | 585 | 122 |
2021 | 641 | 115 |
2022 | 691 | 119 |
受益者の声
実家便を受け取った施設退所者が、経済的に助けられただけでなく心理的なサポートも得られたことがメッセージからも伝わってきます!
賛同者の声~実家便発送のボランティアの現場から~
私は、公益財団法人あいであるの賛助会員で、実家便の発送ボランティアをさせて頂いております。あいであるの賛助会員としてお金を寄付させて頂いておりましたが、ある時この実家便についてもっと知りたくなりました。
子ども達のためにどんな物を入れているのか、どんな人たちがどんな思いを込めているのかなど、機関紙からでは分からない現場を肌感覚で知りたくてボランティアが出来ないか問い合わせしました。実家便の発送ボランティアをするにあたって、機密保持契約に署名を行い、実家便の発送作業を行う現地へと伺いました。
個人情報の取り扱いは十分に配慮しており、宛先と贈り主の間違いが無いか、二重にも三重にもチェックしていました。また、モノの梱包は丁寧にされており、配送物もダンボールの中に綺麗に並べられています。施設からのメッセージカードも封筒に入れられて、送り先とメッセージカードの宛名が同じかどうかを最終確認します。
発送作業をする皆様は、コミュニケーションが非常に良くとれており、真剣に作業に取り組みながらも、仲間を気遣う声掛けや心配りから、普段の仕事の様子が伺えました。少し重量のあるものを取り扱う力仕事のため、普段と違う作業をしている皆様は、作業後のとても心地の良い疲労感と充実感を感じています。
いつか施設に入らなければならない子ども達がいなくなりますようにと祈りつつも、年々少しづつ増えていく発送数を見て、難しい状況に置かれている子どものことを考えています。
参加したメンバーは、現状を知りつつも自分たちのできることを精一杯取り組んでいます。施設から出ると、一人の社会人としてみられますが、たくさんの仲間達や先生に囲まれて過ごした日々の後、就職などで施設を出ると一人ボッチになる。それが、どれだけの孤独感や焦燥感があるのかは計り知れません。
実家便は、そんな施設から出た子ども達へ、あなたは一人じゃ無いんだよ、施設にいるたくさんの仲間があなたを思っているんだよ。寂しくなったら、私たちがいることを思い出してね、というメッセージと、お腹が空いたらこれを食べてねという、愛情溢れた贈り物だと思いました。
私達は自立した子ども達へ向けて梱包作業をしており、その子供達から私達へは直接のお返しはないかもしれません。
ですが、私達の思いを受け取った子ども達が、他の困っている人を助けて、その人がまた他の困っている人を助けて… という良い循環が社会に広がればと思い、いつもそういう気持ちで、実家便の発送ボランティアをさせて頂いております。
寄付金の使い道
皆さまから頂いたご寄付は、実家便に同梱するお米を購入する費用等に充当いたします。
※お米を入れてほしいという子どもからのリクエストは多く、物価高騰の中で家計費の節約になります。
寄付募集額:860,544円(1回1名分で2キロのお米を用意、2023年発送予定の延べ約1,200名分を想定。)
ご支援のお願い
児童養護施設で養育されている子どもは、社会で生活を始めることへの準備も整わない、法律的、金銭的な後ろ盾もない中、18歳に達したというだけで自活を余儀なくされます。社会人としては未熟な18歳児が、親からの支援もなく、非正規雇用など社会的格差が広がる中で、自分の生活費を稼ぎ、自立・安定した生活を送ることが容易ではないことはご想像いただけると思います。
自活を始めた子どもは、分からないこと、困ったことがあったときすぐに相談出来る施設とのつながりを必要としています。
この実家便支援は、施設と退所者双方をつなぐ架け橋となる支援です。
親と一緒に住むことができなかった空虚感や、虐待を受けていたことによる心身のダメージからの回復など、自分自身の生育環境を受け入れ、子どもなりに折り合いをつけていくには時間を要します。
その間、子どもたちが自活、そして自立に向かっていけるようサポートをすることが、社会全体で子どもを養育することに繋がっていくと考えています。当財団の活動にご賛同いただき、ご支援・ご協力をお願いいたします。
団体概要
団体名 | 公益財団法人あいである |
所在地 | 東京都港区 |
お問い合わせ | 電話番号: 03-6435-0444 |
当プロジェクトの事業計画
事業名 | 実家便支援事業 |
内 容 | 「実家便」支援事業は、当財団が児童養護施設からの申請を受け、施設職員に代わり、施設を退所し自活をしている子どもに食品や生活用品、防災用品を詰めた生活支援物資「実家便」を送る事業です。「実家便」には、施設職員からの応援メッセージを同梱し、「モノ」と「言葉」の両面で子どもたちを支えます。 |
事業期間 | 2023年4月から2024年3月まで |
総事業費 | 7,585,000円 |
当サイトでの 募集額 |
860,544円
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