- 募集団体は 特定非営利活動法人glolab です。
- 子ども支援分野への寄付でもこの団体を支援できます。
- 支援総額は2024年11月19日現在のものです。
ごあいさつ
NPO法人 glolab
代表理事 柴山 智帆
日本で暮らす外国籍の方の人口は2023年12月に約340万人を突破し過去最多となりました。
国立社会保障・人口問題研究所によると、2070年ごろには人口の10%程度が外国籍になるという推計も出ています。
今後ますます日本社会は多様化し、多様な文化的背景を持つ子どもや若者が育つ社会になっていきます。
一方、現在の日本社会に目を向けると、外国にルーツを持つ子ども・若者には「日本語教育の質の地域格差」や「進学や就職の壁」などさまざまな課題が存在します。
私たちglolabは、外国にルーツを持つ若者がさまざまな壁を乗り越え、自分の力で進路を切り開いてほしいという想いから、主に外国にルーツを持つ高校生に向けたキャリア教育をおこなっています。これまでに120人あまりの高校生にキャリアプログラムを提供してまいりました。
高校生に将来について尋ねると、「外国人にもやさしい歯医者さんになりたい」「母語と日本語を活かしたCAになりたい」などなどいろいろな夢や希望をそれぞれ語ってくれます。
しかし、社会や学校から、「日本語ができない」という側面のみで見られてしまう傾向も否定できません。
今回ご寄付をお願いする「NEWDOOR進学プレッププログラム」は、進学を希望しても、奨学金受給に制限のある在留資格を持つ、非常に困難な環境にある生徒向けの学校外での進学支援プログラムです。
このプログラムでは、外国ルーツの先輩との対話や進学に必要な日本語力を培う日本語作文個別指導で多角的に高校生の進路選択を支援します。
本プログラムは、2024年で3期目に入りました。卒業生には夢に向かって大学に進学した生徒もいます。
私たちは、このプログラムを通してこれから社会に巣立っていく準備段階にある高校生一人一人に向き合い、前に進む後押しをしていきたいと考えています。
日本社会はこれから急速に多様化していきます。外国にルーツを持つ子ども・若者の未来も、私たち社会全体で支える必要があるのではないでしょうか。
同じ社会に生きる若者の将来のためどうか皆様のお力をお貸しください。
外国にルーツを持つ高校生が直面する3つの課題
文部科学省が令和3年度に実施した「公立小・中・高等学校等における日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査の結果」によれば、日本の全高校生の大学や専門学校への進学率は71.4%であるのに対し、日本語指導が必要な高校生の進学率は51.9%で、21.5ポイント低く、進学も就職もしていない者の率は、全高校生が4.8%に対し日本語指導が必要な高校生は、13.4%と2.8倍となっています。
私たちglolabは当プログラムの参加者を含めてこれまで、120名あまりの外国ルーツの高校生にキャリアプログラムを提供してきました。
活動を通して、日本人の生徒であれば比較的容易に得られるであろう進路の情報をなかなか得ることができないという問題があることを実感しています。
これは言語等の壁により保護者が日本の事情に明るくなく、子どもの進路選択に関わることが難しいからです。
また、進路に関して様々な不安を抱えている高校生が気軽に相談でき、外国ルーツの生徒の背景やニーズを理解して対応できる場も圧倒的に不足しています。
これらに加え、在留資格という制度上の課題もあることがわかりました。「家族滞在(※1)」「公用(※2)」という在留資格で日本に暮らす高校生たちは、その定住性が認められず、経済的に困難な状況であっても国の高等教育の修学支援新制度をはじめとする多くの奨学金から対象外とされています。
2024年度から「家族滞在」の在留資格でも日本で小学校中学校高校を卒業していれば、国の高等教育の修学支援新制度や日本学生支援機構の奨学金が対象となりました。
これは大変喜ばしいニュースですが、依然として「公用」の在留資格の生徒は対象外です。
また、glolabが支援している「家族滞在」の生徒の多くが小学校、または中学校を母国で卒業してから来日しており、彼ら彼女らも奨学金の対象外となっています。
このように、外国にルーツを持つ高校生が進学を目指す時に以下のような課題に直面します。
① 進学に関する情報取得・相談の場の不足
② 奨学金受給の制限など制度上の課題
③ 日本語の能力の問題
上記の課題がどれか一つでも残ると、経済的に困難を抱えた家庭の外国ルーツの高校生の進路選択は困難となります。
彼らの将来のためには、3つの課題全てに対応した総合的な支援が必要です。
NEWDOOR進学プレッププログラムについて
『この進学の壁に対して、glolabとして何かできないか、学校外の民間でできることはないか。』
そんな想いから2022年に新しくプロジェクトを立ち上げました。それが「NEWDOOR進学プレッププログラム」です。2024年度は3期目で、関東地区から3名、関西地区から3名参加しています。
このプログラムの対象は、外国にルーツを持つ高校生の中でも、特に制度の面でも困難を抱える「家族滞在」「公用」の在留資格を持ち、かつ、進学をする意欲があっても進学をするのに経済的な困難を抱えている生徒です。
「NEWDOOR進学プレッププログラム」では、生徒たちが前述の3つの課題を乗り越え、自分の将来についてじっくり考えて進路選択をしていけるように、①1年間のキャリアワークショップと、②月1回2時間のオンライン日本語作文教室を提供します。
プログラム内容①「キャリアワークショップ」
キャリアワークショップでは、社会で活躍する外国ルーツの先輩との対話や在留資格についての学習、合宿などを行います。
一般企業から職人まで、社会で様々に活躍する外国ルーツの先輩たちの経験談から人生や進路に関する考え方を学び、大学の見学等の体験を通して、卒業後のビジョンを明確化していきます。
大学の見学を実施する夏合宿では、進路をともに考え、寝食をともにすることで、高校生同士の横のつながりも生まれます。
また、今の在留資格で受けられる奨学金や、在留資格の変更について知ることで、進学やその後の将来についてのビジョンを作り上げることができます。
外国ルーツの高校生が直面する「進路についての情報取得・相談の場の不足」と「奨学金受給の制限など制度上の課題」という2つの問題に対応するのがキャリアワークショップとなります。
プログラム内容②「日本語作文教室」
「じっくり考えた事柄を適切な表現でアウトプットすること」ができるように、「書くこと」に重点を置いた日本語の個別指導を行います。
オンラインでの指導の経験が豊富な指導者が、一人一人異なる日本語能力や書く力に合わせて学習内容を計画し、指導します。定期的な指導は月1回2時間ですが、それ以外にも宿題の添削やチャットでのやりとりを通して個別に生徒に対応します。
これにより、日本で進学し、社会に出ていくうえで避けては通れない「日本語の能力の問題」に対応します。
以上のプログラムに加え、プログラムの全日程に参加した生徒に10万円を上限とした進学支援金を給付し、高等教育機関への受験の機会を提供します。
これらの実施により、制度の面でも経済的にも困難を抱える外国ルーツの高校生の進学・進路選択を総合的に支援するのが「NEWDOOR進学プレッププログラム」です。
大学を訪問する「交流合宿」について
2024年8月22日から23日にかけて、東洋大学白山キャンパスを訪問する交流合宿を開催しました。
それまでオンラインでしか顔を合わせていなかった関東の生徒と関西の生徒が集まって交流できるほか、大学を訪れて講義も受けられる合宿です。
同じ外国ルーツの仲間たちと絆を深め、将来のイメージを具体的に形作り、皆でその目標に向かって進んで行くうえでとても大切な機会と考えています。
- 関東・関西の生徒同士の交流や社会で活躍している外国ルーツの先輩との対話を行った1日目の様子はこちらの活動報告をご覧ください。
生徒の進路選択への保護者の理解について
2022年、23年とプログラムを実施して実感したのが保護者への支援の必要性です。
進路について保護者がどのように生徒に関わっているか確認したところ、前述した通り、日本の学校に詳しくなく、進路選択に関わることができずに子どもに任せているケースのほか、誤った情報で子どもにアドバイスするケースなどが見られました。
また、保護者の意向で結果的に志望大学を変更せざるを得ない生徒もいました。
そこで、2024年度から、保護者の支援も開始することとしました。具体的には多言語の通訳をいれた進路相談会を開催し、大学・専門学校の受験の仕組みや奨学金制度、在留資格の制度などを丁寧に説明します。
また、保護者との信頼関係を構築するために、いつでも保護者が相談できる体制を作ります。
生徒がよりよい進路選択ができるよう保護者のサポートもおこなっていきます。
寄付金の使い道
皆様からいただいたご寄付は「NEWDOOR進学プレッププログラム」の「日本語作文教室」での日本語指導に使わせていただきます。
「日本語作文教室」では、高等教育機関進学のために求められる日本語の書く力を身に付けてもらうことを目的に、2024年6月または7月から2025年3月までの9~10か月間実施します。生徒の来日時期や日本語学習歴が異なり、それぞれ日本語の能力に差があるため、1対1の個別指導でそれぞれの生徒の能力やニーズに合わせた指導を行い、日本語の力、考える力の向上を目指します。
2時間の日本語授業を生徒1名に提供できます。
ご支援のお願い
東京都立高校で学ぶ「日本語の指導が必要な生徒」は、都立高校全体で、2012年は359人だったのに対し、2022年の時点で792人と、10年間で2.2倍に増加しています。
大阪府立高校での同様の生徒については、2019年から2022年の間は400人程度と横ばいでしたが、2023年度は500人を超え、こちらも増加傾向にあります。
このような状況にも関わらず、外国にルーツを持つ高校生の存在や進路選択に関する課題は、まだほとんど知られていません。
今回の寄付募集を通じて、この課題をより多くの方に知ってほしいと思っています。
たくさんの方がこのプログラムに賛同してくださり、課題が周知されれば、国の奨学金制度もさらに改善されるかもしれません。
また、「NEWDOOR進学プレッププログラム」は経済的に困難な家庭の高校生を対象としているため、すべて無料で提供しています。
そのため、みなさんのご支援があって初めてプログラムを高校生へ届けることができます。
日本に暮らす若者すべてが社会にとっての宝です。
若者が持っている力を発揮し、将来に向かって前向きに歩めるよう、ご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
支援者の声
当プロジェクトの事業計画
事業名 | NEWDOOR進学プレッププログラム |
内 容 | 経済的に困難を抱えるも進学を目指し、かつ奨学金受給の対象外になりがちな家族滞在・公用等の在留資格を持つ高校2年生にむけて日本語力向上のための学習支援並びに1年間のキャリア教育プログラムを実施する。マネーリテラシー講座やロールモデルとの対話通して自分の将来を考えるワークショップなどを開催し、外国にルーツを持つ高校生が将来自分自身で生活基盤を築き、人生を切り開いていくための力を養う。また、プログラム終了時に10万円の進学支援金を給付することで、高等教育機関の受験機会を提供する。 |
事業期間 | 2024年4月から2025年3月まで |
総事業費 | 3,879,524円 |
当サイトでの 募集額 |
500,000円
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