経済困窮家庭の子どもたちに高校進学のための学習支援を

平成20年頃から「学力をお金で買う」という風潮を感じるようになりました。

教育を経済用語で語ることも多くなりました。

「努力に見合う成果」や「費用対効果」が教育現場でも求められるようになりました。

しかし教育の成果は、費用には換算できないし、成果もすぐに出るわけではありません。

子どもたちには「悩み、傷つく」ことも成長の栄養剤になります。

一方で、「悩まず、傷つかずに」学力を伸ばしてやりたい親心により、子どもたちの習い事への出費を求められるようになっています。

そして、経済格差がそのまま学力格差となってしまっている現状があるのではないでしょうか？

東灘区で学習支援

私たちは、神戸市の東端にある東灘区で、中学生を対象とした学習支援を行っています。

海上都市「六甲アイランド」や全国的に有名な「灘の清酒」の酒造メーカーの工場を有する東灘区は、アクセスの良さと、海と山に囲まれた環境により、神戸市の中でも有数の住宅地となっています。

神戸市の中学３年生の80％は塾に通っています。学習塾への年間の出費は、平均で約30万円※にのぼり、同級生の大半が塾に通っている中で、経済的に苦しい家庭の子どもは塾に通うことができません。

このような環境においては、家庭の経済格差が、そのまま子どもたちの学力格差となってしまいます。

※厚生労働省「平成２８年度子供の学習費調査」より

私たちはこの点に疑問を持ち、何とかすべての子どもたちに平等に学ぶ機会を支援したい、子どもたちが進路に希望を見出せるようにしたいとの思いから、無料塾を開設しています。

公立高校進学を目指して

無料塾では、主に中学生を対象に、週３回、年間で約120回の高校への進学を目指す学習会を開催しています。

生徒一人に対しボランティア講師一人が対応する、マンツーマンでの個別指導を実施しています。

2022年度は、10名の中学3年生が全員公立高校に合格することができました。

経済負担の少ない公立高校に進学することにより、無理なく高校生活を送ることができ、その後の生活、進路に展望を見出すことができます。

子どもたちを地域で支える

子どもたちを教えるのは、主にボランティアの大学生です。彼らにとって、学習支援は社会参加の機会であり、社会課題に触れる機会ともなります。子どもたちに伝えることを通じて、大学生自身の成長と、進路を考えるきっかけともなっています。

また、私たちは、活動を立ち上げたメンバーも、ボランティアで子どもたちを教える大学生も、全員が地域生活者です。私たちの取組みが地域に根付き、継続していくことにより、地域の子どもたちを地域が支えるという機運が醸成されることを願っています。

発足してちょうど１年の団体ですが、この活動が目の前の子どもたちだけでなく、地域にとってもよい循環となるよう、事業を継続し、発展させていきたいと考えています。

卒業生の声

団体概要