代表挨拶
住み慣れた地域で日常生活を営み、偏りのない平等な医療を受けるためには、医療機能の分化とともに、地域に密着した医療、地域に根ざした医療との連携が極めて重要です。
医療、介護、福祉、住まい及び日常生活の支援が包括的に確保される体制、すなわち“地域包括ケアシステム”の構築には、医療だけではなく、介護、保健、予防、福祉、住まい、日常生活、住民の連携が不可欠です。様々な機能を担う医療の連携や、地域包括ケアシステムの構築に関わるすべての職種の連携には、ICT技術を活用したネットワークの推進が非常に有効だと考えています。新潟県の魚沼医療圏において、医療介護連携ネットワーク「うおぬま・米ねっと」は、まさにその鍵を握っている事業です。
未来のさらなる少子高齢化の進行に備え、「うおぬま・米ねっと」をより発展させたシステムにさせたいと考えています。魚沼医療圏における医療・介護・保健・予防・福祉・住民・行政の連携、そして、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最期まで続けるための“地域包括ケアシステム”の推進にご支援いただければ幸いです。
特定非営利活動法人 魚沼地域医療連携ネットワーク協議会
理事長 鈴木 榮一
事業の概要
豪雪僻地である魚沼地域(十日町市、津南町、南魚沼市、湯沢町、魚沼市)の医療資源・介護人材不足を補うためにICTを活用し、D to P with N( Doctor to Patient with Nurseの略。看護師が訪問中の患者に対して、医師が遠隔診療を行うこと)や医療と介護の情報連携を進めるための「うおぬま・米ねっと」。この「うおぬま・米ねっと」には魚沼圏内の約26%の住民の方に加入いただいていますが(2022年10月末時点)、地域の方々の健康維持・向上や介護予防、包括的ケアシステムを充実させていくために、より多くの住民の方に加入いただきたいと考え、今まで声掛けができていなかった勤労世代等の方々に向けて周知PR活動を行い、加入率30%を目指します。
社会課題・活動を始めたきっかけ
新潟県は、人口に対する医師数の割合が全都道府県の中でも下位であり、さらに魚沼医療圏(十日町市、津南町、南魚沼市、湯沢町、魚沼市)は新潟県の医療圏の中でも、それが最も低い地域です。その他にも、山間地も含む広大な面積且つ豪雪地域であり交通アクセスも悪い状況下、ICT技術を活用して医療介護の分野がスムーズに連携することが必要不可欠な上、少子高齢化、若者の人口減少などの課題も抱えています。
少ない医療資源、増える高齢患者という課題の解決は困難ですが、そうした状況下でも住民に十分な医療・福祉サービスを提供するためには、医療機関と関連機関との間での、よりスムーズな連携が必要になると考えました。それを実現させる仕組みとして、医療介護情報連携ネットワーク「うおぬま・米ねっと」の運用がスタートしました。
(こめたろうは、「うおぬま・米ねっと」のイメージキャラクターです!)
「うおぬま・米ねっと」って何?
うおぬま・米ねっとに加入するまで
加入した住民に配布される「米ねっとカード」
うおぬま・米ねっとに加入するメリット
地域住民は「うおぬま・米ねっと」に登録することで、自身の健康データを蓄積し、投薬や検査の重複を防ぐことで医療費負担の軽減につながります。
また、万が一の救急時や災害時にも、治療にあたる医療従事者が「うおぬま・米ねっと」を使って過去の医療情報を確認することができるので、より迅速な処置をすることができます。
多忙な医療介護現場においても、患者の病状や投薬情報を複数の医療機関で共有することで事務効率化や適切な処置につながります。
「うおぬま・米ねっと」には医療機関だけなく介護事業所も登録しているため、医療者と介護者の垣根が低くなり、円滑なコミュニケーションにつながっています。それにより、住民自身が医療から介護への移行することもスムーズになり、住民自身も家族も安心した暮らしにつながる地域包括ケアシステムに発展することが期待できます。
体調不良の時も・・・
医療現場からの声
・自宅で倒れた人を搬送する際に救急隊員が「うおぬま・米ねっと」により持病を確認。低血糖症状であることが判明し適切な救急処置をすることができました。
・退院・転院した患者でも、「うおぬま・米ねっと」のデータを参照することにより診療経過の閲覧ができ、円滑な継続治療につながります。
・かかりつけ医と介護事業者とのデータ共有により継続した投薬管理ができ、介護利用者の健康管理がスムーズにできました。
・お薬手帳を複数所有している方が、ご自身で投薬の重複確認ができていないケースがありますが、「米ねっと」で処方や投薬状況を確認することで、不適切な投薬や処置を防ぐことが出来ました。
受益者の声
数ヶ月前に脳梗塞を発症し、大きな病院で治療を受けていました。お陰様で症状はだいぶ良くなり、自宅近くのかかりつけの先生に診てもらっていました。ある日、先生から「改めて検査を」と言われたのですが、正直入院時に検査は散々やったので、費用もかかりますしあまり前向きではありませんでしたが、先生の方から「たしか米ねっと加入されていますよね?検査結果があるか診てみましょう。」と言っていただきました。確認してもらったところ、軽度の肝機能障害が認められるとのこと。
よくよく思い出してみると、確かに病院の主治医からもそう言われていたのですが、すっかり忘れていました。
しっかりお薬を出していただいて、今では数値も安定しています。このまま行くと症状が悪化していたかもと思うと、あのとき米ねっとに加入しておいてよかったです。(60代女性)
寄付金の使い道
今まで病院での声掛けが中心だったため加入者は年配層が多く、勤労者世代等その他の世代へは十分に加入の声掛けができていませんでした。そこで、幅広い世代の住民の方に加入いただけるよう、地元企業や健康保険組合等に事業内容を紹介するPRチラシを印刷したり、地域コミュニティFMでPRしたりするための費用につかわせていただきます。
ご支援のお願い
医療・介護の連携を通じて、魚沼圏域の住民が持続可能な社会生活を送るためのインフラとしての「米ねっと」を次世代につないでいくためにも、幅広い方々の支援が必要です。
山を守り、水をたくわえ、食をはぐくむためにも、住民の健康という資産を守っていかねばなりません。
過疎地が都市を支えるバックヤードとして生き残っていくためにも、実施体制の維持、地域全体での取り組みにご支援をお願いいたします!
団体概要
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