シェルター事業 活動報告 【日本駆け込み寺×お金をまわそう基金】


日本社会では、昨今、DVや人身取引など様々な問題が深刻化してきている。2001年では約3500件だったDV被害件数も、2016年には20倍の7万件まで増える一方である。

平成28年におけるストーカー事案及び配偶者からの暴力事案等への対応状況についてhttp://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/stalker/seianki28STDVsyosai.pdf

昔に比べDVの基準がどんどん緩和された結果、数字的にDVが増えている背景もあるが、それでも減っているとは言えない。個人的な問題が多いため、行政も手をこまねいている現状もあり、ほうっておくとどんどん増え続ける可能性が出てくる。

 

【公益社団法人日本駆け込み寺】では、『緊急避難や一時保護のためのシェルター事業』を行っている。

どうしてシェルターなのか?未然に防ぐことが必要では?と疑問を持つ方が多いだろう。しかし、前述のとおり個人的な問題であり、当事者が動かない限り、気づかない、防ぎようのないということがある。もちろん未然に防げることが最善だが、起きてしまった以上、その後の対応が大切になってくる。「DVを受けていて、嫌なら逃げればいい。」という意見もあるだろう。しかし、どこに逃げればいいのか分からない。警察に駆け込んでも、また家に戻るしかないことが多く、輪廻のごとく繰り返される。

「逃げたいが、逃げる場所がない(わからない)」というのが被害者たちの心情だ。

そのような人々のために『緊急避難や一時保護のためのシェルター事業』は存在する。DVを受けている人は、満身創痍で逃げてくる。もしかしたら、殺されるかもしれないという心理状態までおいこまれているかもしれない。なにより必要としているのは「安心できる場所」である。1日2日だけでも心を落ち着かせることは、私たちが考える以上に深い意味を持つ。

 

想像していただきたい。多くの方は心休まる場所として、「家」をあげるのではないか。しかし、その「家」が苦しむ原因となっているとしたら、あなたはどこに行くだろうか?ネットカフェ?ビジネスホテル?お金があれば過ごすことはできる。

では、お金がなければどうする?

お金がない。どうしよう。この不安が毎日襲ってくるのである。

 

シェルター事業が始まり、現在まで4名が駆け込んできた。

  • 1人目は30代女性。発達障害をかかえた身で同居している親から虐待され、耐え切れず逃げてきたとのことだった。罵られ蹴られて満身創痍だった。一定期間シェルターに滞在し、日本駆け込み寺の紹介で清掃会社に就職することができた。
  • 2人目は40代女性。夫の暴力(DV)からのSOSだった。シェルターはただ匿うだけでなく、考える時間をあたえることも役割の一つだ。働きたいと考えていても、過酷な環境下から精神状態も病んでしまい働けず、結果生きるために夫の下を離れられないこともある。その心をじっくりと時間をかけて解きほぐす。その結果この女性も介護施設に就職することができた。
  • 3人目と4人目は、60代と30代の女性。2人とも自宅の更新料が払えなくなり、ホームレスになるところを相談してきた。DVのもう一つのパターンとして、マンションを借り逃げることはできたが、頼るところがなく一人で押しつぶされ、働けなくなる場合もある。結果家賃等を払えなくなり、退去させられる。もともと働く意志がないわけではなく、30代女性は就職先をすぐ決め、60代女性は福祉事務所を紹介することになった。

 

二段ベッド

二段ベッド2

お風呂

廊下

こちらが実際にシェルターとして稼働している部屋である。置いている電化製品は、冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機。テレビを置いてしまうと居心地が良くなってしまい、シェルターではなくなってしまうことから最低限の設備で運営している。他にトイレットぺーパーなどの備品もあるがすべて皆様からの寄付で成り立っている。

トイレットペーパー等、物品の寄付はこちら→http://nippon-kakekomidera.jp/report/2017_0626.html

 

平成26年度には日本駆け込み寺本部(新宿)には年間2,698件の相談が来た。

日本駆け込み寺HPより

その内の半分が「DV」や「暴力」、「こころの問題」に関する内容だ。日本駆け込み寺は仙台支部もあり、こちらも「こころの問題」の相談件数が最も多くなっている。家庭問題に対する相談は、夫婦関係より親子関係に関する場合が多いのも意外だった(2倍以上の件数)。毎月6割前後が女性の相談者だ。

以前、日本駆け込み寺の活動をご紹介させていただいた。本来、駆け込み寺とはこういうところだった。

江戸時代、結婚している女性は何らかの理由があり別れたくても不可能に近かった。亭主関白が当たり前だった世の中、夫のほうから離縁状を送らない限り、離婚が成立せず、苦しんでいても解放されない日々。そこで唯一のよりどころなのが、「駆け込み寺」だった。一度、門をくぐることができれば解放されるとまで言われるほど、苦しむ人たちの心の支えとなっていた。

wikipedia縁切寺(駆け込み寺)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B8%81%E5%88%87%E5%AF%BA

 

まさに『公益社団法人日本駆け込み寺』は文字通り、現代の駆け込み寺である。都内だけでなく、地方からも救いを求め連絡が来る。私も職員の方に話を聞く度、様々な相談内容に驚いている。それだけ、切羽詰まった人々が日本駆け込み寺を頼りにしているということだ。

シェルターとは、身体的に被害者を守ることはもちろん、精神的にも「心のよりどころ」としての役割を持つ。今回はシェルター事業についてご報告させていただいているが、「日本駆け込み寺」が行っていることはこれだけではない。

被害者予防として、週一回の新宿パトロールも行っている。これは、歌舞伎町に救いを求めやってきた女性たちを悪の道に取り込ませないために、声をかけ未然に防ぐというものだ。事実、歌舞伎町の街角で見知らぬ男からうまい儲け話をもちかけられ、そのまま夜の世界に引き込まれたという声も少なくない。

毎週水曜日に行われている、ゴミ拾いも予防事業の一つだ。風紀が乱れていると、治安が悪くなるという話を聞いたことはないだろうか。まさにその通りで綺麗なところに犯罪はおきにくい。街がきれいだということはそれだけで立派な予防策となる。

こういった活動を率いるのが、職員の千葉 龍一さんだ。千葉さんは刑余者の支援や、講義なども行っている。自身の経験をふまえた堂々とした語り口は迫力を感じずにはいられない。目力も強く、ご一緒すると常に圧倒される。実際パトロールに参加させていただいた時、先陣を切って歩くのは千葉さんであり、後ろ姿は幼き日の父の背中のように大きかった。

 

そして『日本駆け込み寺』が行うシェルター事業へつながる大切な事業の一つが、駆け込んでくる人たちの声に耳を傾ける「相談」事業だ。相談は無料で行っており、様々なケースの相談が来る。(以下、事例の中から抜粋。)

37歳女性 夫からの暴力から逃げるため子ども6人連れて家を出たい。

自分(相談者)は離婚歴がある。そして、離婚歴のある男性(夫)と再婚した。再婚後、相談者に対する夫の暴言・暴力が始まり、相談者は耐え続けていたが、子どもに対する暴力は見過ごすことができず、警察に通報した。今(6月16日)夫は拘留されている。を含めた7人でシェルターに避難させてもらえるだろうか?

25歳女性 夫が毎晩ビール瓶で殴りかかってくる。逃げたい。

夫が毎晩酒を飲んで帰ってきては、ビール瓶で殴りかかってくる。「お金を出せ」という。逃げたい。

年齢性別不詳 30歳の長男の暴言がひどく、入退院を繰り返している。

長男の暴言がひどく、強迫神経障害で入退院を繰り返している。今(6月20日)もまだ入院中で退院してきてからどう接したらいいのかわからない。

男性 ルームシェアしている男に暴行を受けた。

メジャデビュー前のグループのファン管理者をしていたが「失敗した」といわれファンの一人に暴行を受けた。その男とはルームシェアしており、「事件にするのはどうか?」と思い、警察には行っていない。どうすればいいのか?

私はこの方たちと実際に話したわけではないが、お話しを聞くだけで生々しい現実が存在するのだと実感した。電話での相談が多く、対応策としては一度面談したり、地方の場合には役所や警察を頼っていただくコトになる。話をきいてもらうだけでも、相談者の気持ちは楽になり、解決への一歩目を踏み出すのだ。

 

現在『緊急避難や一時保護のためのシェルター事業』が行うことができるのも皆様方からの寄付をいただいているということが何よりの理由です。心より御礼申し上げます。ありがとうございます。

いつまでも、このような社会的に意義のある活動を続けるには、継続したお力添えが必要です。現在、7月まではシェルターを運営できることが決まっておりますが、それ以降はまだ不透明でございます。

どうかお力添えよろしくお願いいたします。

寄付はこちら→https://goo.gl/kujPkF

ふじかわ
お金をまわそう基金で「文化・伝統技術分野」と「地域経済分野」の支援活動を担当しています。休みの日は愛犬の「めんま」とごろごろしています。

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